サンデー毎日

コラム
青い空白い雲
2025年7月20日号
「オンラインカジノ」で逮捕するなら「大阪カジノ」建設をやめろ!
loading...

牧太郎の青い空白い雲/992

ギャンブルの歴史は古い。

 紀元前3000年ごろからメソポタミアや中国の人々は、象牙や骨で作った「6面体のサイコロ」を使って賭博をしていた。

 日本でも......『日本書紀』に「西暦685年、天武天皇が博戯(賭博)を見物した」とある。この頃、流行していたのは2人でする「盤双六(ばんすごろく)」という遊び。サイコロを使って、盤上に置かれた双方15個の石をどちらが先にゴールさせるか?を競う。負けたら相手に牛や馬を譲ることになる。人々は命懸け?で勝負したらしい。遣隋使・遣唐使によって中国から「サイコロ」という文化が〝輸入〟されたのだろう。良くも悪くも「文化」というものは常に海を渡る。

「賭博規制」の歴史も古い。689年、当時の女帝・持統天皇は「賭博に熱中して農作業がおざなりになる」との理由で、いわゆる「双六禁断令」を出している。新しいギャンブルが登場すると「新しい規制」が生まれ、イタチゴッコのような状態になる。

 つい最近、海外のオンラインカジノで繰り返し賭博をした「フジテレビのバラエティ制作部企画担当部長」さんが、警視庁保安課に常習賭博容疑で逮捕された。海外のカジノサイト「エルドアカジノ」にアクセスして、バカラ賭博などに約1億7000万円を賭けたらしい。下手くそなんだろう。2400万円も損をした。多分、ギャンブル依存症。業界では有名な人らしい。「ホンマでっか⁉TV」「さんまのお笑い向上委員会」といった人気バラエティー番組を手掛けた人物だそうだ。令和のテレビ文化を支えた一人。こんなことで業界から消えていく。残念である。

 はっきり言って「博打(ばくち)」はそれほど「悪いこと」なんだろうか?

 競輪・競馬・競艇・オートレース・宝くじ事業が公営賭博として認められ、全国どこの町でもパチンコ店が存在する(当方も、毎週中央競馬を楽しんでいる)。日本中、どこへ行っても(合法の)博打場があるじゃないか。

 しかも、大阪市の夢洲(ゆめしま)では日本初のカジノを含む統合型リゾート(IR)が建設中。政治家の皆さん(特に「維新」の面々)は「日本経済の活性化に貢献する」と胸を張る。一方で「海外オンラインカジノ参加」は犯罪で大阪カジノは合法? おかしいじゃないか!

 2010年10月「日本最大の賭場」が摘発されたことを思い出した。大阪市西成区、釜ケ崎と呼ばれる場所にあった「福助」という施設はマンション3棟の1階部分をつなげた巨大ドーム。約300人のお客に「ノミ行為」を行っていた。大阪人は「博打好き」。いやいや、日本人の多くは「ギャンブル好き」ではあるまいか?

 本気でオンラインカジノを規制するなら「大阪カジノ建設」を中止すべきだ!

うさぎとマツコの人生相談
週刊エコノミストOnline
Newsがわかる
政治・社会
くらし・健康
国際
スポーツ・芸能
対談
コラム