サンデー毎日

対談
艶もたけなわ
2019年9月 1日号
柄本佑 俳優
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阿木燿子の艶もたけなわ/265

昨年、出演した3作で、映画雑誌『キネマ旬報』ベスト・テンの主演男優賞を獲得。押しも押されもせぬ実力派俳優として、存在感を放つ柄本佑さん。根っからの映画好きなのは芸能一家で育ったことも多分に影響しているようです。家族の秘話から憧れの俳優、最近の出演作に至るまで、たっぷりお話し頂きました。

◇学生時代はお尻のポケットに文庫本を差し込み、下駄履きで歩いてました。

◇雑誌のインタビューで、女子力が高いと答えていらっしゃいましたが。

◇ごく普通の女の子達とお喋りをしているほうが、盛り上がるんです。

阿木 佑さんって、映画がとてもお好きで、今まで凄(すご)い本数、ご覧になっているんですよね。

柄本 学生の頃は年間で200本以上を目標にしていました。

阿木 ということは、3日に2本は見なくちゃいけない。それも俳優さんの好みがとても渋くて、殿山泰司さんや小林桂樹さんがお好きだとか。私達の世代なら分かりますが、お二人は昭和の良き時代を支えた俳優さん。

柄本 もともと映画が好きというところから入っているので、あまり時代は関係ないんです。今でも僕にとって、小林さんや殿山さんは憧れの俳優さんで。

阿木 お二人共、芸達者な役者さんですけど、それでいてさり気なくて、さもさもの演技をなさらない。とくに小林桂樹さんはサラリーマンを演じるとピカ一で、朝の通勤電車で隣り合わせても、違和感がない。

柄本 そうやって普通でいるのって、とても難しいと思うんです。演じる時は、いっそどっちかに振り切ったほうが楽な感じがあるんですけど、あえてそこをゼロスタートにするあたりが、流石(さすが)だなと思って。お二人共、ご自分を客観視する目をお持ちなんですよね。僕、そこに惹(ひ)かれるんです。

阿木 素人考えでも、熱演というか、狂気のように演じるほうが役者さんにとってカタルシスがありそうですよね。そこを一歩も二歩も引けるって、ご本人の成熟度が高いってことでしょうね。

柄本 そこなんです。僕が憧れるのは。

阿木 と、おっしゃりながら、何かの雑誌のインタビューで佑さんは、女子力が高いと答えていらっしゃいましたが。それもご自分で前世、女性だったのでは、と思うくらいだと(笑)。その辺のギャップは、どうなっているんでしょうか?(笑)。

柄本 もちろん同世代の男性の役者さんと話をしているのも楽しいんですが、それよりも、ごく普通の女の子達とお喋(しゃべ)りをしているほうが、盛り上がるんです。

阿木 例えば、どんな話をなさるの?

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