サンデー毎日

対談
艶もたけなわ
2019年8月18日号
内澤旬子 イラストレーター/文筆家
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阿木燿子の艶もたけなわ/264

特定の異性につきまとう「ストーカー」。

れっきとした犯罪行為ですが、報復の恐れもあり、被害者はいまだ公の場で語りづらい現状があります。状況に一石を投じたのがイラストレーターの内澤旬子さん。自身のストーカー被害経験を週刊誌上で連載、反響を呼びました。相手方に抗議を受けながら、それでも執筆を決意した理由とは――。

◇泣き寝入りしたら、私の人生はこのままクローズされると思ったんです。

◇DVを繰り返す夫は、子供や妻に手を上げた後、反省し自己嫌悪に陥るといいます。

◇加害者にはまったく同情しませんが、ただ孤立させてはいけないと思うんです。

阿木 内澤さんは現在、香川県の離島、小豆島にお住まいなんですよね。ヤギのカヨちゃんは元気ですか?

内澤 はい、ありがとうございます。今、カヨの他にもヤギが4頭増えたんです。毎日、軽トラック1杯くらいの草を刈って、エサをあげるのが結構、大変で。

阿木 冬場はどうするんですか?

内澤 冬になる前に、なるべくたくさん干し草を作り置きします。売っている干し草は糊(のり)で固めてあって、ヤギにあまりよくないらしくて。

阿木 島での生活も、長閑(のどか)とばかりはいかないようですね。

内澤 田舎のスローライフって、いろいろやることがあって、意外に忙しいです。

阿木 元来、内澤さんは東京生まれの東京育ち。都会の女性でいらっしゃる。

内澤 ひ弱な都会者です。田舎暮らしに昔から憧れていて。

阿木 憧れを現実にするのって、勇気がいりますよね。私も星空が奇麗で、緑が豊かなところに住みたいと夢にまで見るんですが。

内澤 私とは逆ですね。私は小豆島暮らしを始めてから、街の中をさまよっている夢を時々、見るんです(笑)。

阿木 私、この連載をやらせて頂いていることもあり、週刊誌はよく目を通すんです。『週刊文春』で連載していらっしゃった「ストーカーとの七〇〇日戦争」を、拝読していました。内澤さんがストーカーに遭われていた経緯を、ご自身でお書きになっていらっしゃった。連載中にも、事態は進行していたんですよね。

内澤 そうです。連載を始めた時、向こうは一度逮捕された後、出所していました。

阿木 内澤さんがおっしゃる「向こう」とはストーカー行為を繰り返していた男性で、文章の中では「A」という仮の呼び名で表記されていますよね。出所したということは、またストーカー行為を行わないとも限らないわけで。

内澤 本当にそうです。不安というか、恐怖というか。

阿木 Aから文春さんのほうに「内澤さんの連載は不法行為である」というような抗議があったとか?

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