サンデー毎日

対談
艶もたけなわ
2019年7月21日号
黒川伊保子 人工知能研究者
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阿木燿子の艶もたけなわ/260

ベストセラー『妻のトリセツ』の著者、黒川伊保子さんの本業はAI(人工知能)の研究者。コンピューターへの実装を目指し、「語感」について30年近く関心を寄せてきました。研究を重ねる中、人間と言葉の関係について「AIには到達し得ない領域がある」との確信を深めていったといいます。黒川さんが考えるAIの限界とはいかに?

◇人工知能を人格化したり、人間と意思疎通させたりするのは、危険だと思う。

◇語感でいうと、元号が平成から令和に変わりましたが、こちらはどうですか?

◇これだけ響きとして華やかでドラマチックだと、経済効果はあると思います。

阿木 黒川さんが以前、お書きになった『妻のトリセツ』はベストセラーになりましたが、今回は『ことばのトリセツ』を上梓(じょうし)なさいました。「夫のトリセツ」というのは、お書きにならないんですか?

黒川 ウチでは、夫のトリセツが効かなくて。

阿木 えっ、そうなんですか(笑)。夫婦喧嘩(げんか)をなさった時は、どちらが謝るの?

黒川 お互いに理系なので、喧嘩も理詰めになってしまい、どちらが正論かで結構、激しく言い争うんです。

阿木 どうやったら相手を説き伏せられるか、みたいな?

黒川 夫と出会って気が付いたんですけど「説き伏せる」という時も、説き伏せられる側に、その才能が必要なんじゃないかって。

阿木 説き伏せられる才能ですか。それだったら主人(宇崎竜童氏)は"才能アリ"です。

黒川 ご主人、素晴らしいです。ウチは彼の意見を私が呑(の)むしかない感じですね。

阿木 多分、主人は"妻のトリセツ"に熟知していて、喧嘩して私が怒っていると、ひたすら「僕が悪かった」って(笑)。そういえばご本の中で、夫婦喧嘩をするのは悪いことではなく、極端な言い方をすれば、喧嘩をするために夫婦は一緒にいる、みたいなことをお書きになってましたよね。

黒川 違う意見を持ち寄らないと、ペアとしては強くならないんです。だから違う感性がぶつかり合うのは、決して悪いことじゃない。

阿木 脳といえば、黒川さんは人工知能研究の先駆者でいらっしゃる。男性脳、女性脳の違いをさまざまな角度から研究なさっている。

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