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2023年9月17日号
芸能 「尾形大作」の衆院選出馬に芸能界からも驚きの声...
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 日本維新の会の〝牙城〟ともいえる大阪で、自民党は次期衆院選の公認候補として大阪18区(岸和田市など)から演歌歌手の尾形大作(60)の出馬を決めた。8月2日の記者会見で、尾形は「歌の仕事で、政治のことはほとんどわかりませんが......」と発言し、芸能界からも驚きの声があがっている。

「これでは、政治のことをほとんど知らなかった今井絵里子参院議員や元おニャン子出身の生稲晃子参院議員と同じレベルかなと思いました。1981年に歌手デビューした尾形は『無錫(むしゃく)旅情』という曲を大ヒットさせ、87・88年の紅白歌合戦に連続出場したのですが、その後はぱっとせず忘れられていた歌手です」(中堅プロマネジャー)

 自民党はなぜ尾形を担ぎ出したのか。一つの手がかりがある。実は尾形が安倍元首相の父・安倍晋太郎元外相を礼賛する「晋さん」という曲を約30年前に歌っていたのだ。

 当時を知る音楽関係者は言う。

「歌の仕掛け人は当時の大物自民党議員、曲のプロデュースを担当したのが〝辣腕(らつわん)音楽プロデューサー〟と呼ばれた山田廣作氏(故人)でした。『晋さん』を歌ったことを知った安倍派幹部が尾形出馬を促したとの情報も出回っているほどです」

 山田氏といえば、1973年に芸能事務所「エイビーシープロモーション」を設立。ロックバンド「ゴダイゴ」を育て、作詞・作曲家の中山大三郎さんとのコンビで島倉千代子の「人生いろいろ」や天童よしみの「珍島(チンド)物語」などを大ヒットさせた敏腕プロデュサーだった。

「その一方で、文化交流にも力を注ぎ、マザー・テレサの歌をプロデュースしたり、日中文化交流にも熱心でした。当時、海外ではあまり知られていなかった中国の無錫市をテーマにした『無錫旅情』、大連を題材にした『大連の街から』をプロデュースしました。その『無錫旅情』を事務所所属の尾形に歌わせたのです」(山田氏と親しかったテレビ関係者)

 86年にリリースされた「無錫旅情」は130万枚を超すミリオンセラーを記録、紅白歌合戦にも連続出場した。

「ミリオンセラーを飛ばし、紅白に連続出場した歌手なら今も活躍していてもおかしくない。しかし、尾形は名前すら忘れられてしまっている。実は彼の素行の悪さが、芸能界育ての親である山田氏の逆鱗(げきりん)に触れ芸能界から干されたんです」

 と話すのは、当時を知る芸能ライター。

「尾形はあっと言う間に売れて大スターになったことで自らを勘違いし、山田氏が見てないところで後輩歌手に威圧的態度などをとったといいます。弱い者イジメが嫌いだった山田氏が諫(いさ)めたところトラブルとなって、山田氏は彼を契約解除したのです。30年ほど前のことです」(同)

 それ以降、尾形は芸能界から消えた。郷里の福岡県に戻り、ローカルタレントして活動。その尾形を自民党が次期衆院選に擁立。果たして、尾形からどんな政策が出てくるのか。島倉千代子の曲ではないが、これも「人生いろいろ」かもしれない。

(本多圭)

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