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2023年5月21日号
芸能 「ピーコ騒動」で浮上した芸能人に忍び寄る"老後不安"
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 昭和・平成のワイドショーで辛口コメントでお茶の間を賑(にぎ)わせた双子のタレント「おすぎとピーコ」。そのピーコ(78)について4月に「週刊女性PRIME」が「突然、自宅から姿を消して行方不明」と報じたことで安否が気遣われていた。だが、4月16日放送の「サンデージャポン」(TBS系)で高齢者施設に入居していることが明らかに。関係者がホッとしたのも束(つか)の間、今度はニュースサイト「NEWSポストセブン」が、ピーコが施設に入る前の万引きでの逮捕を報じたことで、高齢芸能人はショックを受けている。

「弟のおすぎが高齢者施設に入居し、残されたピーコが認知症気味になっていた。今後、高齢者になってから老後生活が危ぶまれる有名人タレントもいます」と言うのは大手プロ役員。

「若い時分に十分に稼いだタレント、あるいは大手プロに所属して老後の面倒を見てくれたり家族がいればいいのですが、カネに困っていたり、独り身で最期を看取(みと)る親族もいなかったら大変です」(同)

 2年前、お笑い芸人約6000人が所属する吉本興業の会長、大﨑洋氏は筆者に高齢芸人について、

「ウチは若いうちはギャラは安いですが、年を取っても面倒を見るのが伝統。昔から、高齢芸人を優遇しています」

 と語っていた。今年3月に『居場所。』(サンマーク出版)を出版した大﨑氏は本誌(4月23日号)で高齢芸人について「みんな元気です」と語る。たとえば、「坂田(利夫)さんは今も舞台に立っています」と言う。坂田利夫(81)とは、〝アホの坂田〟として一世を風靡(ふうび)したベテラン芸人だ。大﨑氏はこう語っていた。

「楽屋で自動販売機の缶ジュースを買いに来てるスタッフに、芸人の坂田利夫さんが『お前、なんちゅうコンビや?』『いや、僕はジュースを買いに来てるだけです』と言うと、『お前みたいな芸人、まだ見たことがない、誰や!』と言いながら舞台に上がる。

 あの芸風ですから、お客さんは、ボケてはんのか? それともギャグやっているかわからへんようですが、ウケる。そんなリアクションがあると、坂田さんも元気になって『今日の客、ええなあ』って(笑)。坂田さんはパワーアップしてますわ。坂田師匠を見習わなと言ってます」

 芸能ライターも言う。

「現在も刑事ドラマなどで活躍している北大路欣也(80)は夫婦で介護付き有料老人ホームに暮らしながら、仕事の現場に通っていると報じられた。その施設は豪華ラウンジを備え、食事も一流シェフが担当。高級ホテル並みです。一方、その昔、アイドルとして大ブレークした女性歌手は一般的な老人ホームで人目を避けて暮らしています」

 前述したピーコは認知症の疑いがあって、身寄りもなく施設に入ったと報じられた。

「身寄りも蓄えもない高齢タレントにとって、ピーコのことは他人事(ひとごと)とは思えないはず」(75歳の俳優)

 老後不安は芸能人も例外ではない。稼いで貯蓄し、どれだけ周囲に恵まれたかによって老後の生活が左右されるのだ。今後、芸能界の老後問題も深刻になりそうだ。

(本多圭)

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