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2023年2月19日号
スポーツ 名門レーカーズ移籍の八村塁 「シャックの洗礼」は起爆剤か
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 米プロバスケットボールリーグNBAでワシントン・ウィザーズからロサンゼルス・レーカーズにトレード移籍した八村塁(24)。レーカーズといえば、かつてはマジック・ジョンソンやコービー・ブライアントらスーパースターが在籍。ボストン・セルティックスと並び、リーグ最多の17度の優勝を誇る屈指の名門であり、人気チームだ。それだけに移籍後の〝洗礼〟も手厳しいものがあった。

 特に話題になったのは、レーカーズが2000〜02年のNBA3連覇した時の中心選手で、その後も他チームで活躍した往年のスーパースター、シャキール・オニール(50)によるインターネット上の音声番組「ポッドキャスト」だ。オニールは「そんな選手、名前も聞いたことない」などと語り、「レーカーズはチャンピオンになるためのチームだ。そんな選手、ちゃんとプレーできるのか?」と続けた。

「トップ10に入らない選手は名前も知らない。(だから)ウィザーズの選手のことは把握していない」とも話したオニール。「もしレーカーズがウィザーズから獲得する値打ちのある選手がいるとすれば、スターガードのブラッドリー・ビールくらいだ」と八村を侮辱するとも取れる発言もした。

 ただし、八村を擁護する人々もいる。ブルックリン・ネッツのスター選手であるケビン・デュラント(34)は「シャック(オニールの通称)は塁がどんな選手か知らない。彼はバスケットボールそのものを知らない」とツイート。これをきっかけにオニール対デュラントがSNS上で舌戦を交わす事態に発展した。一方、NBA入りは果たせていないが、父と同じくバスケットの道を歩んでいる息子のシャリーフ・オニールさんが「それが父のやり方。そういう言い方で選手を鼓舞し、彼を黙らせるような活躍をさせよう、と考えている」と解説する一幕もあった。

 実際、オニールの指摘のせいで、NBAの中でそれほど知名度が高くなかった八村の名前がニュースで取り沙汰され、注目が集まったのも事実だ。新天地でのデビュー戦となった1月25日のサンアントニオ・スパーズ戦では途中出場で12得点、6リバウンド。渡邉雄太との日本人対決が実現した同30日のネッツ戦は、移籍後初の先発出場で16得点、4リバウンド。そして、シャリーフさんの言葉通り、八村は拍手を浴びた。

 レーカーズのファンサイトで「八村獲得をどう評価するか」というアンケートでは、90%が5段階評価で「A」もしくは「B」という高評価をつけた。レーカーズの現在のスター選手であるレブロン・ジェームズ(38)、アンソニー・デイビス(29)も八村のデビュー戦での活躍を評価するコメントを出した。

 シーズンを通して活躍を続ければ、そのうちオニールも「自分が間違っていた」とコメントを出すかもしれない。きつい洗礼だったが、それを跳ね返す選手に八村が成長することを期待したい。ロサンゼルスでは八村と大リーグ・エンゼルスの大谷翔平という2人の日本人アスリートの活躍が見られるようになり、在住の日本人にとってはうれしいニュースだ。

(土方細秩子)

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