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2022年12月11日号
芸能 今年も「紅白」は若年層狙い 「テレ東」の猛追撃が始まる?
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 第73回NHK紅白歌合戦の出場メンバーが発表されたが、高齢者の〝紅白離れ〟は加速しそうだ。本番前から〝最大のライバル〟として浮上しているのが、テレビ東京系の「第55回 年忘れにっぽんの歌」(以下、「年忘れ〜」)である。

「紅白のメンバーを見ると、半数以上は高齢者が知らない歌手ではないでしょうか。昨年、紅白の平均世帯視聴率は34・3%で歴代最低でした。その要因の一つに高齢者離れがあると言われたのです。今年はメンバーが発表された段階で、すでに最低視聴率を更新するとの予想もあります。一方で、昨年8・3%の高視聴率を取ったテレ東の『年忘れ〜』は勢いがあります。今年もシニア層の視聴者がNHK紅白から流れるかもしれません。『年忘れ〜』が初の10%超えなら大変な事態です」(音楽ライター)

 NHKは出場メンバーの選考基準について「今年の活躍」「世論の支持」「番組企画にふさわしいか」の3点を挙げているが、選出メンバーを見ると首を傾(かし)げたくなる。

「今回、視聴者が期待していた中森明菜や松田聖子が外されました。ジャニーズ勢は6組。韓国グループが5組。加えて、今年活躍したとは思えないような女優、篠原涼子も出場です。業界では首を傾げる人が多い」(音楽プロマネジャー)

 ここ数年、紅白にはジャニーズ事務所から5組以上のグループが出場。2015年にはSMAPや嵐など7組が出場。この年の紅白は白組26組のうちジャニーズ勢が4分の1を占めたことで〝ジャニーズ祭り〟と揶揄(やゆ)されたほどだ。

「今年は〝ジャニーズ5組〟と予想されていたのですが、発表前に副社長だった滝沢秀明氏が突然退所し、事務所が激震。そのため〝もしかして2組では?〟とのウワサも流れました。ところが実際は、予想より1組増えて6組。ジャニーズの力を見せつけましたね」と言うのは大手プロ役員。

「意外なのは、韓国グループの5組。韓国グループは11年に3組が出場した以降、12年から2016年まではゼロ。それがいきなり5組です。中には今年デビューしたというグループも入っています」(同)

 11年当時の紅白には東方神起、KARA、少女時代の3組が出場したが、大手プロ関係者が「演歌を廃れさせるのか?」と選考にクレームをつけ、大もめにもめたといわれている。

「それが10年たって様変わりです。今年はK―POPアイドルのIVE、LE SSERAFIM、TWICEなど女性グループが4組も入っている。ただ、その存在を知らないシニア層もいるでしょう。それだけにテレ東『年忘れ〜』に流れる人は増えるでしょう」(前出の音楽ライター)

 テレ東の「年忘れ〜」は演歌、歌謡曲系の歌手ばかり。昨年は紅白を落選した五木ひろしをはじめ、全員が紅白出場経験者ということもあって、前年よりも0・9ポイントアップの8・3%と健闘している。

「そして、『年忘れ〜』が過去最高の10%超えとなれば、紅白の存続がいよいよ問われます」(演歌歌手マネジャー)

 若年層狙いの紅白。大(おお)晦日(みそか)は要注目だ。

(本多圭)

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