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2022年12月 4日号
芸能 「スッキリ」打ち切りで浮上した吉本興業との関係
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 お笑いコンビ「極楽とんぼ」の加藤浩次(53)がMCを務める日本テレビの朝の情報番組「スッキリ」が来年3月で打ち切り。17年間の歴史に幕を閉じる。

「打ち切りの背景はここ数年の視聴率低下です。それだけでなく、加藤が所属していた吉本興業が『スッキリ』の制作方針について不信感を抱いていたことも影響しているかもしれません」(日テレ関係者)

 テレビ朝日の「羽鳥慎一モーニングショー」に抜かれてここ数年、低視聴率に喘(あえ)いでいる「スッキリ」は、2021年3月にVTRでアイヌ民族に対する差別的表現をしたとして放送倫理・番組向上機構(BPO)の審議にかけられ、同年7月に放送倫理違反を厳しく指摘された。日テレは全面的に非を認め謝罪したものの、今度は昨年1月に放送された、ペットサロンに預けた犬がシャンプー後に死んだ問題を扱った企画がBPOで審議入りした。

「この企画は『独自 愛犬急死〝押さえつけシャンプー〟ペツトサロン従業員ら証言』という仰々しいタイトルで、犬の飼い主や従業員や複数の関係者証言をVTRにまとめて放送しました。その後、経営者らが〝事実に反する放送〟と主張し、BPOに訴えて審議入りしたのです」(放送ライター)

 2度のBPO審議入りで、日テレとの関係が〝深い〟とされる吉本の幹部からは、「日テレは3年くらい前からプロデューサー以下、スタッフを大幅削減。そのため社員は仕事を下請けに依頼。その影響なのか、2度もBPO審議入りした。番組は打ち切るしかありませんよ」と批判的な声が上がっていた。

 前出の日テレ関係者は「以前は吉本とは友好的な関係でしたが、2019年に発覚した吉本の〝闇営業問題〟について、『スッキリ』の報道姿勢に吉本側は不信感を持ったんです」。

 闇営業問題が発覚したのは、19年6月。吉本の岡本昭彦社長の謝罪会見を受けて当時、吉本に所属していた加藤は「スッキリ」で吉本の体制を批判。「今の社長、会長(大﨑洋)の体制が続くんだったら、僕は吉本興業を辞める」と大ミエを切った。

「その直後、加藤は大﨑会長と面談してトーンダウンし、問題は収束すると思われました。ところが、長期にわたって『スッキリ』で吉本問題を取り上げたのです。もし、闇営業問題が在京の大手プロだったらやらなかったでしょう。偏った報道姿勢に日テレ社員から吉本に同情する声も上がっていました」(前出の日テレ関係者)

 同時に、MCを続けて日テレの制作方針に加担した加藤は、吉本との契約が専属エージェント契約になり、その契約も昨年3月に終了。フリーになった。

「『スッキリ』での加藤の高額ギャラは吉本の大﨑会長が直接、担当者に掛け合って決めました。年間2億円以上と言われています。闇営業問題を引き金に加藤は降板するべきだった。続けたことで、吉本側は不信感を募らせました。打ち切りは遅すぎましたよ」(前出の日テレ関係者)

「スッキリ」打ち切りで、日テレのワイドショーの今後が問われる。

(本多圭)

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