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2022年7月17日号
スポーツ 朝乃山が1年ぶりの土俵復帰 「本名」に戻し名古屋で再出発
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 日本相撲協会の新型コロナウイルス感染対策ガイドラインに違反し、6場所出場停止処分を受けた元大関・朝乃山(28)=高砂部屋=が大相撲名古屋場所(7月10日初日、ドルフィンズアリーナ)で土俵に復帰し、西三段目22枚目から再出発する。幕内に戻るのは今場所から全勝を続けても最低3場所はかかる計算だ。しかし、番付上位力士の成績や、長かった本場所のブランクを考えれば、1年近く要する可能性が高いだろう。

 大関経験者が三段目以下に落ちて土俵に上がるのは、昭和以降では病気やけがで西序二段48枚目まで陥落した横綱・照ノ富士(30)=伊勢ケ浜部屋=以来2人目。その照ノ富士でも序二段の2019年春場所から、20年7月場所の再入幕まで1年4カ月を要した。それだけ番付下位からの「ごぼう抜き」は難しい。

 朝乃山はガイドラインに違反し、接待を伴う飲食店に何度も通っていた。協会の事情聴取に当初、虚偽の申告をしていたことも明らかになり、厳しい処分を受けた。一方、処分期間中の昨年6月には祖父、同8月には父を亡くした。また、番付が絶対の大相撲。大関時代には無縁だった部屋の掃除や食事の手伝いなど、幕下に落ちてからはそんな雑用もしてきた。

 再出発に当たっては、しこ名の下の名前を「広暉(ひろき)」と本名に戻した。17年春場所に十両となってからは、富山商高時代の恩師・故浦山英樹氏から取った「英樹」を使っていた。本名に戻したのは、失意のうちに逝去した家族の思いを背負う覚悟を表すものではなかったか。名古屋場所番付が発表された6月27日には取材には応じなかったが、一時は引退も考えながら、反省を重ねて稽古(けいこ)を積んできたという。

 照ノ富士のけがやカド番を繰り返す大関陣の不甲斐(ふがい)なさを思えば「右四つからの寄り」という正攻法での強みを持つ朝乃山への期待は大きい。早い時間から取組を見るファンが増えそうだ。

(水木圭)

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