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2022年1月23日号
スポーツ 圧巻の大会新で青山学院大V 5人が箱根からパリに挑戦へ
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 復活した青山学院大の圧倒的な強さばかりを見せつけられた。第98回東京箱根間往復大学駅伝競走(1月2、3日、10区間217・1㌔)は昨年4位に沈んだ青学大が、2020年に自らが作った大会記録を1分41秒更新する10時間43分42秒の大会新で、2年ぶり6度目の総合優勝を果たした。2位の順天堂大に10分51秒の大差をつける圧勝。青学大は往路を2位に2分37秒差で制し、復路も9、10区で区間新記録をマークするなど、他大学の追い上げを許すどころか、見事に突き放した。

 昨年の雪辱を期した原晋(すすむ)監督が「史上最強軍団」を1年で作り上げた。練習で設定タイムを上げ、達成するための走り方を選手自身に考えさせた。全体の底上げを図り、登録メンバー16人全員の自己ベストを、他大学のエース級のタイムである1万㍍28分台に引き上げることに成功した。恒例の箱根駅伝に向けた作戦名は「パワフル大作戦」。数字に裏付けられ、自信を持って臨んだ大舞台で花開いた。

 自信はレース展開にも表れた。2位に大差をつけて独走態勢に入った復路では、アクシデントや失速の危険性を考えて首位固めを図るもの。ところが、選手たちは安全策を取らず、ペースをどんどん上げていった。往路では一つもなかった区間賞を3区間で出し、普通なら自重する終盤の9、10区でパワフルな走りを見せて区間新記録をたたき出した。自らの状況判断でマネジメントできる頭脳も、練習で積み上げたもの。往路の3、5区に1年生を起用した大胆さも、原監督が選手の適性を見極めた結果だ。

 箱根駅伝後もユニークな指導は続く。原監督は4日、4区を走った主将の飯田貴之(4年)、2区の近藤幸太郎(3年)ら長距離適性がある5人を、24年パリ五輪マラソン代表を目指し、2月6日の別府大分毎日マラソンに出場させることを明らかにした。最強軍団は箱根から世界へ飛び出していく。

(水木圭)

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