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2021年10月31日号
スポーツ 漫画顔負けのダブル1位指名 市和歌山「史上初」バッテリー
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 中学1年からバッテリーを組んで甲子園出場を果たし、ともにドラフト1位指名を受けて違う球団に入り、プロの世界での対決を待つ。まるで熱血野球マンガの世界だ。

 10月11日のプロ野球ドラフト会議で、今春の選抜高校野球に出場した市和歌山の小園健太投手がDeNA、松川虎生(こう)捕手がロッテからそれぞれ1位指名を受けた。同一高校バッテリーの「ダブル1位指名」は史上初。最速152㌔の速球を武器に「高校ビッグ3」と評価されていた小園と、身長178㌢、体重98㌔という堂々の体格で高校通算43本塁打を誇る松川。小園が「20勝できるような、最優秀防御率も獲(と)れるようなエースになりたい」と言えば、松川も「打てる捕手、ホームラン王になりたい」。目標も大きい。

 コロナ禍の影響で十分なスカウト活動ができなかった今年のドラフト。これだけスポーツ紙の予想が外れた例も珍しい。各球団が当日まで選択に迷い、他球団の動向も分からなかったからだ。スカウトも球団幹部も、現在の力を見極める機会が少ないと判断が難しい。可能性を秘めていても追いかけ切れなかった選手が多かったことは、育成選手の指名が史上最多の51人に上ったことでも分かる。

 ある球団のスカウトは「松川は指名候補だったが、まさか1位で来るとはね。ウチは4位ぐらいだった」と話す。いわゆる「一本釣り」と言われる指名だが、打力や肩力に加え、評価されているのが主将を務めた信頼感だ。市和歌山の半田真一監督は「1位には驚いたが、自信を持って送り出せる」と断言する。県内で競い合った今年夏の覇者・智弁和歌山の中谷仁監督も「あのバッテリーのお陰で成長させてもらった」と話す。捕手として高卒新人で1位指名を受け、プロ入りした中谷監督の言葉だけに説得力がある。「最強バッテリー」が1人となって挑むプロの世界。日本一をかけて対決する、マンガの続きのような展開が見たいものだ。

(水木圭)

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