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2022年9月25日号
金融 巨額損失、副社長2人辞任など ソフトバンクグループが窮地
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 ソフトバンクグループが逆風にあえいでいる。8月8日に発表した4~6月期決算は3・1兆円の巨額損失を計上。足を引っ張ったのは、2・3兆円もの税引前損失を出した「ソフトバンク・ビジョン・ファンド(SVF)事業」だ。同社の主力事業となったベンチャー企業への投資事業のことである。あるメガバンクの幹部はこう話す。

「SVF事業の1号ファンドはサウジアラビアの政府系ファンドなどの出資者に対し、年率7%の固定分配をする決まりになっています(2号ファンドは同8%)。それが同事業の巨額損失につながっています」

 8月31日には同事業を統括するラジーブ・ミスラ副社長が辞任。1号ファンドの運営会社トップに残るが、自ら別の投資ファンドを組成する意向を示した。1月にも同事業の一部をなす「SBオポチュニティ・ファンド」の設立にかかわったマルセロ・クラウレ副社長が辞任している。

 8月20日付の『日本経済新聞』は「繰り返す法人税ゼロ ソフトバンクG、15年で課税4回」という見出しの記事を1面トップに載せた。〈連結純利益が日本企業で史上最高の約5兆円となった21年3月期も、単体の法人税はゼロだった〉とした。

 なぜか。記事によれば、「受取配当等の益金不算入」と呼ばれる法人税法の規定を利用したことで、同税がかからなかった配当金の受け取りが多かったとみられるという。合法的な節税のようだ。

 筆者が数年前に取材した国税庁の有力OBは、ソフトバンクGの決算手法に不信感を口にした。同社がSVF事業のファンドを使ってどのように節税しているかについてホワイトボードに図表を書き、「不透明な手法だ」と力説していた。

 同社に対してはメガバンク3行が巨額な資金を供給してきた。当然ながら同社の先行きに戦々恐々としているに違いない。

(森岡英樹)

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