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2022年9月18日号
地方 町議も選挙人名簿を不正複写 町長が不正コピーの真鶴町で
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 町長による選挙人名簿抄本の不正コピー問題で混乱する神奈川県真鶴町で、別の選挙人名簿複写が発覚し、町議が辞意を表明した。複写には隣町の町議が関与。関係者はいずれも町長に近く、新たな動きに発展しそうだ。

 不正複写したのは真鶴町の木村勇町議(39)の陣営。8月29日に記者会見し、「町民をだまし、選挙の公正さを害した。議員の職にとどまるべきではない」と辞意を表明した。9月定例会後に議長に辞職願を出すという。木村氏は2021年9月の町議選で、陣営の湯河原町の土屋由希子町議(40)らと選挙人名簿抄本を閲覧。土屋氏が持参したタブレット端末で約40ページ800人分を撮影し、その画像を別の協力者A氏(58)とSNSで共有した。土屋氏は「撮影するのはグレーゾーンだと思い、怒られるかもしれないから、こそこそやった」と説明した。公職選挙法は名簿の撮影や複写、第三者への提供は認めていない。

 土屋氏の使ったタブレット端末は湯河原町議会から貸与され、規則で「品位を重んじた良識ある使用」が求められている。同氏は1日現在、進退を明言していないが、同町議会も黙っていないだろう。

 真鶴町は松本一彦町長(56)が19年の県知事選に使われた選挙人名簿抄本を不正にコピーし、20年の自身の町長選で使い、21年の町議選で配った。松本氏は一旦辞職後、同年の町長選で再選した。土屋氏やA氏は松本氏の選挙も中心的に支援した人物。真鶴町では「土屋氏が松本氏のブレーン」とうわさされている。

 一方の木村氏は町議会で松本氏を信任してきた。辞任すると議会内の構成が変わり、松本氏の不信任案が出た場合、可決する可能性がある。

「選挙に勝った。公民権停止まで辞めない」と強気の姿勢を崩さない松本氏だが、足元はぐらついている。町が松本氏の不正について告発する準備も進む。いよいよ一つの山場を迎えそうだ。

(本橋由紀)

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