〈10万円以下の個人間送金が手数料無料に〉
メガバンク3行は8月8日、そう記したニュースリリースを出した。10月11日に稼働する「ことら送金サービス」に参画するという。
同サービスを運営する「ことら」(東京都中央区)によれば、加盟金融機関数は3行のほかに地方銀行や信用金庫など計37機関に上る。
使い方はこうだ。商店や飲食店で支払いに使えるスマートフォン決済アプリ「楽天ペイ」「ペイペイ」はご存じだろうか。それと同じ機能を持つアプリを提供する金融機関がある。銀行や信用金庫などの「バンクペイ」やみずほ銀行が提供する「Jコインペイ」などだ。10月11日以降はそれらアプリの機能にことら送金サービスが加わるというわけだ。
ことらのウェブサイトによれば、送金するには相手の銀行口座を指定する方法のほか、相手の携帯電話番号を入力する方法も選べる。送金する際に「昨日の飲み会代です」といったメッセージを加えることも可能だ。
銀行界が同サービスを立案するきっかけとなったのは、政府が2020年7月に公表した成長戦略実行計画に〈多頻度小口決済を想定した低コストの新しい資金決済システムの構築を検討する〉と盛り込んだことだ。
また、ペイペイなどスマホ決済アプリで個人間送金ができるようになった。手数料がかかる銀行振り込みを代替しかねないとして、銀行界は危機感を高めている。
それらを背景にメガバンクなど5行は昨年7月、ことらを設立した。
来年4月からは地方税の納付書に統一規格のQRコードを導入することになっている。ことらはスマホ決済アプリを使ってQRコードを読み取って納付できる「ことら税公金サービス」を予定しているという。
(森岡英樹)