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2022年8月21日号
地方 「トリエンナーレ」から改称し芸術祭「あいち2022」開幕
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 3年ごとに開かれ、「あいちトリエンナーレ」から改称した国際芸術祭「あいち2022」が7月30日、名古屋、一宮、常滑の愛知県内3市の4会場で開幕した。

 19年の前回は、企画展「表現の不自由展・その後」に出品された「慰安婦」を象徴する少女像や昭和天皇のコラージュを燃やす場面を含んだ映像作品などに批判が殺到し、放火予告事件まで起きた。不自由展は3日間で中止、閉幕6日前に再開し、「表現の自由」を巡る議論を呼んだ。

 今回の芸術監督は愛知県出身の片岡真実氏。東京・六本木の森美術館館長や国際美術館会議会長も務め、海外の国際芸術祭の経験も豊富だ。

 片岡氏は開幕前日の記者会見で、前回の教訓について問われ「何度も同じような質問を受けてきた」とうんざりした表情。「コロナの中でどういうふうに国際芸術祭が作れるか、さまざまな人の協力を得ながら実現してきた。成果を見てほしい」と訴えた。

 とはいえ、コロナ対応もあり事業費は13億円規模に膨らんだうえ、前回は2億円余りあった名古屋市の負担金はなく懐事情は厳しい。不自由展に反対した河村たかし市長が負担金の一部不払いを決めたため法廷闘争になり(1審では市が敗訴)、今回の参加を市が見合わせたからだ。

 組織委員会の会長に就いた大林剛郎(たけお)・大林組会長は「協力いただいた企業の皆様からネガティブな話も頂戴したが、日本を代表する芸術祭を頑張ってほしいと応援いただき漕(こ)ぎ着けることができた」と開催への苦労をにじませた。

 テーマはコロナ禍を反映して「STILL ALIVE 今、を生き抜くアートのちから」。32の国・地域から計100組が参加、現代美術展やパフォーミングアーツなどを繰り広げる。前回の来場者は過去最多の67万人余り。「分断」の進む社会に芸術祭が生き抜く力を示せるか、10月10日までの73日間で試される。

(井澤宏明)

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