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2022年7月17日号
金融 国債の日銀保有比率が50%超に 英ファンド「下落に賭けている」
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 日本国債に黄色信号が灯(とも)っている。6月28日付の『日本経済新聞』朝刊1面に「国債、日銀保有5割超す 6月買い入れ 最大の15兆円」と大見出しが載った。金融情報サービス業「QUICK」(東京都中央区)による27日時点のデータとして、こう報じた。

〈短期国債を除く国債の発行残高は1021・1兆円、日銀の保有額は514・9兆円(20日時点、額面ベース)。日銀の保有割合は50・4%と21年2~3月の50・0%を超えて最大となった〉

 日本銀行は2013年以降、「デフレ脱却」などを狙って資本市場で大量の国債を購入してきた。市場関係者は直近の動きについてこう話す。

「長期金利を0・25%以内に抑えるため、日銀は国債を指し値で無制限に買い入れるオペレーションをしており、残高が急拡大しています。その結果、日銀が国債の過半を保有するという異常な現状になっているわけです。『日銀が国債を買い続けられなくなるタイミングは近い』と先読みして『売り』(国債の価格が下落するともうかる取引)を仕掛けるヘッジファンドが出現しました」

 そのヘッジファンドは英ロンドンに本拠がある「ブルーベイ・アセット・マネジメント」。米金融通信社ブルームバーグは6月14日、マーク・ダウディング最高投資責任者が「かなりの額の日本国債をショートしている」と明かしたと報じた。ショートも前述の「売り」と同じ意味だ。

 海外のヘッジファンドが「日本国債は近く暴落する」と先読みしてショートする動きは1990年代後半からあったが、ことごとく失敗した。あるメガバンクの幹部が言う。

「他国の国債と違い、日本国債は発行分のほぼ全てが国内で消化されていることが大きい。いわば夫(国)が妻(国民)から借金しているような構図なのです」

〝夫〟の浪費に〝妻〟が愛想をつかす日はあるのか。案外そう遠くないのかもしれない。

(森岡英樹)

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