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2022年7月10日号
金融 平均年収が前年比431万円増 超高給企業「キーエンス」の秘訣
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 2182万7204円――。中古マンションの価格ではない。工場用センサー大手のキーエンスが6月13日、開示した有価証券報告書(有報)に載った3月20日現在の従業員平均年収だ。1年前より約431万円も増えた。

 どんな会社なのか。創業者の滝崎武光名誉会長(77)は兵庫県立尼崎工業高校を卒業後、外資系の制御機器会社を経て、26歳だった1972年、前身となる会社を兵庫県伊丹市に創業した。有報には、その翌年に〈工場自動化用の各種センサを開発、製造販売開始〉とある。メディアが肉声を伝えることがほとんどない滝崎氏は2003年、『日経ビジネス』のインタビューに応じた。それによると、〈創業3年目に初めて利益が出た時から、営業利益の一部を社員の方に還元してきました〉(同年10月27日号)。従業員を「社員の方」と呼ぶのは〈パートナーの意識があるから〉とも語った。

 1990年に東証1部に昇格し、今は時価総額が11兆円を超え、国内4位だ。本業のもうけを示す連結営業利益は22年3月期に前年同期比51%増の4180億円と過去最高を更新した。

 米経済誌『フォーブス』の「日本の富豪50人」ランキングによると、滝崎氏の総資産は191億㌦(約2兆5800億円)に上るという(6月21日現在)。ファーストリテイリングの柳井正会長兼社長に次ぐ2位だ。

 全国銀行協会の髙島誠会長(三井住友銀行頭取)は6月16日の記者会見で、金融業界で若者や中堅社員の転職が増えているとして、こう語った。

「キャリアに対する価値観が従来から大きく変わってきており、いわゆる〝就社〟というよりはまさに就職という傾向がより強くなっていると思う」

 終身雇用制は風前の灯(ともしび)。成果に見合う報酬が得られる職が求められる時代だ。

(森岡英樹)

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