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2022年5月29日号
金融 三菱UFJが広告業に参入? 背景に昨年施行の改正銀行法
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「銀行が新規事業に参入する」という内容の記事が5月8日に相次いで載った。

 同日付の『読売新聞』は〈三菱UFJ銀行はサイバーエージェントと提携し、年度内にデジタル広告事業に参入する〉と報じた。記事によれば、顧客の同意を得て、口座保有者の年齢、性別、預金額、住宅ローンの有無などの金融取引データを匿名化した上で、ネット広告に活用するという。13日現在、同行は発表していない。

 8日付の『日本経済新聞』は1面に「電力に銀行初参入 山陰合同 再エネ活用、収益多様化」というタイトルの記事を載せた。山陰合同銀行は〈今夏にも新会社を設立し、再生可能エネルギーの発電施設の管理・運用する〉という。ただし、同行は報道の翌日、〈再生エネルギー関連事業を営む子会社の設立を検討していることは事実ですが、現時点で決定した事実はありません〉と発表した。

 両行が新規事業を模索する背景には、昨年11月施行の改正銀行法によって、銀行の業務範囲規制が緩和されたことがある。メガバンクの幹部はこう説明する。

「改正前、『銀行はクレジットカード業務や投資業務などを除き、銀行以外の業務は原則としてできない』とする規制がありました。銀行はあらゆる業種の法人に融資することから、他業に進出すれば利益相反が生じるからです」

 改正銀行法はこの規制を大幅に緩和した。金融庁関係者が言う。

「銀行が既存の経営資源を活用して行う範囲で、銀行本体が営む業務が拡充されました。具体的にはデータの分析やそれを活用した広告、登録型人材派遣などです」

 すでに三井住友フィナンシャルグループは昨年7月、電通グループと合弁の「SMBCデジタルマーケティング」を設立。三井住友銀行のアプリに広告を表示する事業などを営んでいる。

(森岡英樹)

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