コスモエネルギーホールディングスの筆頭株主に「シティインデックスイレブンス」(東京都渋谷区)という会社が躍り出た。同社が4月11日、関東財務局に提出した大量保有報告書によれば、4日現在、発行済み株式の6・74%を保有している。5日付の『日本経済新聞』電子版は〈村上世彰(よしあき)氏が関わる投資会社〉としている。
コスモの筆頭株主は最近まで、アラブ首長国連邦を構成するアブダビ首長国の政府系ファンド「ムバダラ・インベストメント」の子会社だった。コスモは3月9日、ムバダラの子会社が保有するコスモ株を売り出すことを発表していた。
シティインデックスは石油精製大手、富士石油の筆頭株主。昨年9月末現在、発行済み株式の9・1%を保有している。証券大手の幹部が言う。
「村上氏は富士石油とコスモの経営統合を仕掛け、その後、より大がかりな石油業界の再編に乗り出すのではないか」
1980年代半ば、国内の石油元売り会社は17社あった。合併を繰り返し、今はENEOSホールディングス、出光興産、コスモの大手3社と太陽石油に集約されている。だが、大手3社間の規模の開きは大きく、3位コスモの行方が注目されてきた。そこに登場したのが村上氏だ。
村上氏には石油再編に関与した過去がある。2019年に実現した出光と昭和シェル石油の経営統合だ。当初、反対していた出光の創業家を翻意させたのが村上氏だった。18年7月11日付『毎日新聞』には、仲介役を担ったとする村上氏の発言が載った。
「昨年秋、創業家と親しい財界の方から創業家へのアドバイスを依頼された」「出光が全ての株主のために何ができるかを議論し、会社側、創業家に賛同いただけたと考えている」
そして今、村上氏がコスモ株に手を出したのは、石油業界の新たな再編に乗り出すということなのか。
(森岡英樹)