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2022年4月24日号
金融 国が売りに出した東京・大手町駅直結の32階建てオフィスビル
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 一流企業が本社を構える東京・大手町。その一角にある超高層ビル「大手町プレイス」の一部が売りに出ている。2棟からなり、2018年8月に竣工(しゅんこう)した。売り主は国だ。

 同ビルが建つ土地は元々、逓信総合博物館と東京国際郵便局が建っていた。所有していた独立行政法人の国立印刷局が10年、国庫に納付。その後、国、日本郵政、NTTなどが再開発協定を締結し、大手町プレイスが建った。2棟のうち、ウエストタワーには日本郵政と傘下のゆうちょ銀行など、それにNTTコミュニケーションズの本社が入居する。国が27階分の権利床を取得したイーストタワーには住友商事などの本社がある。

 昨年12月8日、財政制度等審議会(財務相の諮問機関)の国有財産分科会でイーストタワーの権利床が議題に上がった。議事録によれば、財務省国有財産業務課長は15年の同分科会が「国が庁舎等として利用する計画はなく、(中略)民間セクターに対して処分を行うことが望ましい」と答申したことを説明した。その上で「価格自体は高止まりという状況」であり、「23年には(他のオフィスビルの)大規模な供給も見込まれるということで、できるだけ速やかに売却手続きを開始できれば」と述べ、売却を急ぐべきだと強調した。

 国から同ビルを受託したのはみずほ信託銀行。同行は今年2月、国の権利床に当たるイーストタワーの5〜31階部分などを売却するため、入札を公告した。入札参加者の申込期限は4月22日だ。

 同行は入居者から徴収する賃料の一部を、国に配当という形で支払っている。売却額は国が保有する不動産としては過去最大の3000億円超を見込む。

 入札参加者を受け付けた後、9月にも落札者が決まる予定だ。東京メトロと都営地下鉄の計5路線が通る大手町駅に直結する好立地だけにオフィスの入居率は9割を超えるという。超目玉の有力物件に投資家の注目度は高い。

(森岡英樹)

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