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2022年4月17日号
金融 サンリオの〝いちごの王さま〟94歳の創業会長が6月に退任
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「ハローキティ」で知られるサンリオの創業者、辻信太郎会長(94)が6月下旬、代表権のない名誉会長に就く。会長職は空席となる。同社が3月15日に発表した。「中期経営計画推進を図るための経営体制刷新」を理由としている。

 辻氏は1949年、山梨県庁に入庁。60年に退職し、「山梨シルクセンター」を創業した(73年、現社名に改称)。サンリオ関係者によれば、「創業当初は山梨県産の絹製品を売る会社でしたが、イチゴをキャラクターにした商品が飛躍のきっかけになりました」。

 サンリオが毎月発行する『いちご新聞』には、〝いちごの王さま〟のペンネームで辻氏が連載している。

 2020年には辻氏の孫、辻朋邦氏(33)が社長に就任した。慶應義塾大を卒業後、別の会社に就職したが、13年に父親で副社長だった邦彦氏が出張先の米ロサンゼルスで急死したことにともなって、翌年サンリオに入社した。

 サンリオの最終損益は年々減り、21年3月期は12期ぶりに赤字に転落した。テーマパーク「サンリオピューロランド」(東京都多摩市)は訪日客の入場者が増えていたが、コロナ禍で大打撃を受けている。

 しかし、サンリオは今年3月15日、「信太郎氏に15年まで積み立てた役員退職慰労金と特別功労金3億円を贈呈する議案を6月下旬の株主総会に上程する」と発表した。22年3月期決算で特別損失として計上するという。

 株主総会では朋邦氏が社外から登用した齋藤陽史(きよし)氏(55)ら執行役員3人を取締役として新任する予定だ。齋藤氏はバンダイナムコホールディングスの米子会社トップを経て21年にサンリオ入りしていた。赤字が続く米州とヨーロッパの事業を立て直す大役を担う。業績回復ののろしとなるか。

(森岡英樹)

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