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2022年3月13日号
金融 ヤマダが大塚家具を吸収合併 親子げんかのツケ大きかった
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「親子があれだけ派手に仲たがいしたツケは大きかったということでしょう」

 メガバンクの幹部がそう述懐するのは大塚家具のこと。2015年、創業者の大塚勝久氏と娘の久美子社長(当時)が対立したお家騒動だ。その後、同社はヤマダ電機(現・ヤマダホールディングス=HD)と資本提携し、久美子氏は会社を去った。そして今年2月14日、ヤマダHDは子会社で家電量販店大手のヤマダデンキが5月1日付で大塚家具を吸収合併すると発表。ブランドは残るが、会社としての大塚家具は約50年の歴史を閉じる。

 前出の幹部は「ヤマダHD創業者の山田昇会長兼社長の戦略を注目している」と指摘する。大塚家具についての発表から3日後、同社とアマゾンジャパン(東京都目黒区)はインターネット接続機器「アマゾンファイアーTV」を搭載したテレビを共同開発し、国内で初めて予約販売を始めたと発表した。ライバルの電子商取引の雄との協業であり、山田氏のしたたかな手腕と言える。

 1943(昭和18)年、宮崎県に生まれた。上京してアルバイトをしながら千代田テレビ技術学校で学び、日本ビクター(現・JVCケンウッド)に入社。73年に〈店舗面積わずか8坪、夫婦二人という「町の電気屋」〉(ヤマダHDのウェブサイト)を開業した土地は、辞めたばかりの日本ビクターの工場に近い前橋市だった。

 83年にはヤマダ電機(現・ヤマダHD)を創業し、全国各地に進出して急成長。上場を経た2011年には住宅メーカーのエス・バイ・エル(現・ヤマダホームズ)、12年にはベスト電器、19年には大塚家具に出資していた。前出のメガバンク幹部が言う。

「昨年9月、大塚家具を完全子会社化した時点で吸収合併は時間の問題でした。だから今回の動きに違和感はありませんが、名門企業が消滅することには一抹の寂しさがあります」

(森岡英樹)

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