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2022年2月20日号
カルチャー AOKI「パジャマスーツ」が販売数8万着突破の大ヒット
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 パジャマ=寝間着、スーツ=主に仕事着。真逆の役割を持つ衣類だ。ところが昨年来、この二つの役割を併せ持った商品が大ヒットしている。衣料品大手のAOKIが2020年11月から販売している、その名も「パジャマスーツ」=写真=だ。

 人流削減のため、同年半ばごろからテレワークの機会が増えた人が多い。それらの人の「自宅ではくつろぎたいが、仕事の時はきちんとしていたい」という声を受けて開発が始まったという。そしてパジャマの「リラックス感」とスーツの「きちんと感」を兼ね備えた本商品が誕生した。

 メンズの場合、基本のスタイルは襟のないカーディガンのようなジャケットと、少しゆったりめでセンタープレスの入ったパンツの組み合わせだ。価格はそれぞれ5489円から。質感や機能の違う5種類の素材を用意している。また、よりフォーマルな襟付きのジャケットも2素材でラインアップしており、選択の幅は広い。

 レディースは襟なしジャケットのほか、よりカジュアルな丸首のトレーナー風アッパーが選択肢となる。メンズに比べるとリラックス寄りで、「きちんと感」のある日常着というイメージだ。

 同社が長年培った立体縫製の技術を生かし、パーツを最適化した仕立ては、伸縮性のある素材と相まって実に着心地がいい。まさにパジャマ並みの緩さ。一方でしっかりした生地はカッチリとシルエットを保つ。下に着るもの次第で、さまざまな場面に対応できるだろう。

 この使い勝手の良さが注目され、国内メディアにとどまらず海外でも報道された。累計販売数は8万着を突破し、「日経優秀製品・サービス賞2021」の日経MJ賞を受賞している。

 出勤の減少で縮小したスーツ市場への逆風を逆手にとった発想そのものも、痛快な気分にさせてくれる。

(小出和明)

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