1月24日付の『スポーツニッポン』1面に将棋の藤井聡太竜王(19)の〝コスプレ姿〟が載った。大阪名物「くいだおれ太郎」のような格好をし、「高槻で連勝や」と書かれた太鼓を背負って丸ぶち眼鏡をかけ、ほほ笑む姿。
藤井は普段、勝った後の記者会見で表情をほとんど崩さない。にこやかな表情で写る写真の大半は「笑顔でお願いします」と声をかけたカメラマンに応じたものだ。そんな藤井がやわらいだ表情をして「くいだおれ太郎」姿で写ったのだから、女性ファンの間では「藤井君、可愛い。癒やされる」と評判だ。
藤井は最近、今城塚古墳(大阪府高槻市)にあやかった同市のゆるキャラ「はにたん」を手にほほ笑み、掛川駅(静岡県掛川市)で天竜浜名湖鉄道の車両を前に車掌の制服で敬礼し、掛川城(同市)で戦国武将の格好をした。
掛川市は第71期ALSOK杯王将戦七番勝負の第1局、高槻市は第2局の開催地。藤井は5冠を目指して渡辺明王将(37)に挑み、開幕2連勝した。
王将戦では一局ごとに勝者が対局の翌朝、地元にゆかりのある衣装を身に着ける習わしがある。これは勝者の〝罰ゲーム〟なのか。主催者の1社、スポーツニッポン新聞社の事業部に聞いた。
「こちらとしては単に勝者の記念写真としており、罰ゲームではありません。初登場の藤井4冠は撮影者のリクエストに快く応じてくださいました。毎回1面トップにしているわけではありませんが、ファンの方が喜んでくださればうれしいですね」
八つのタイトル戦のうち王将戦だけにある伝統のコスプレ撮影を楽しみにする将棋ファンは多い。以前も羽生善治九段(永世7冠資格)が島根県安来市で「どじょうすくい」の格好をして話題になった。
トップ棋士たちは多忙だ。他のタイトル戦の主催者がまねし出したらどうなるのか......。少し心配になる。(粟野仁雄)