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2022年2月 6日号
地方 カニの値段が高騰していた! 原因は不漁と中国の消費増か
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 真冬の食の王様、カニが高騰している。

「お土産は立派だったけど、カニはほんの少しだったわ」

 そう語る兵庫県の女性は、カニ料理を目当てに日帰りツアーに参加して城崎温泉(豊岡市)に行ったばかり。

 なぜか。同県の日本海側、香美町(かみちょう)の但馬(たじま)漁業協同組合香住(かすみ)支部に聞いた。

「温暖化の影響なのか分かりませんが、最近は凪(なぎ)もなく時化(しけ)が続いたり、気候が変わったりしてベニズワイガニの水揚げが例年より2〜3割少ない。その分、値段が上がり、消費者のカニ離れが心配です」(沢田繁幸販売課長)

 冷凍ガニの輸入量はどうか。財務省の貿易統計によれば、昨年1〜11月のズワイガニと毛ガニは前年同期より増えたが、タラバガニは39%減、ワタリガニは5%減だった。

 冷凍ガニの輸入価格はコロナ禍の影響で大きく下がった20年から反転した。1㌔当たりの価格は同じ間、ズワイガニ44%高▽毛ガニ35%高▽タラバガニ15%高――と6%安だったワタリガニを除いて跳ね上がっている。

 水産物加工卸・販売業「マルナカイチ杉山水産」(北海道根室市)の志賀謙三直販店店長によれば、高値の一因は中国だという。

「ロシアのカニはみんな中国に取られています。カニの消費量が増えた中国が値をつり上げ、ロシアと値段交渉して折り合わなかった物などしか日本には入りません。ロシアが近年、資源管理を厳しくしたため、密漁ガニも入りません」

 冷凍ガニのロシアからの輸入量は昨年1〜11月、前年同期よりタラバガニ31%減、ズワイガニ15%減だった。

 新型コロナウイルスの感染拡大前、日本を訪れてカニを食べた中国人が、地元でカニを多く食べているのかもしれない。カニでも日本に影響するのは中国なのか。

(粟野仁雄)

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