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2021年12月12日号
金融 みずほシステム障害の責任問題 FG社長の辞任を巡る紆余曲折
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「このまま手をこまねいていると、世論の批判が金融庁に向かいかねないと危惧した」

 同庁の関係者はそう語る。2月から8回ものシステム障害を起こしたみずほ銀行と親会社のみずほフィナンシャルグループ(FG)の責任問題だ。システム障害の後、長期にわたり銀行法に基づく金融庁検査が続き、11月26日に2回目の業務改善命令に至った。

 財務省も海外送金のシステムに障害が生じた際に外為法に違反する手続きがあったとする調査結果を公表する見通しだ。

 金融庁は今夏にも行政処分をして事態を収める腹積もりでいたが、みずほ銀行のシステム障害は8月以降も4回続いた。検査中にもかかわらず、9月22日に1回目の業務改善命令を出したのは冒頭発言のような懸念が高まったからだ。その後、次の焦点はみずほ経営陣の人事問題に移った。前出の金融庁関係者によれば、経緯は一筋縄ではいかなかった。

「みずほ側は幾度となく、坂井辰史FG社長と(金融庁の)中島淳一長官の面談を打診していました。ようやく実現したのは9月下旬。しかし、坂井氏から辞任をするといった実のある発言はありませんでした」

 一方、みずほの関係者はこんな事情を口にする。

「坂井さんは『システム障害が起きたことはトップの責任ではない』といった趣旨の話を周囲にし、なかなか辞める気になれなかったようです。辞任する場合は、それと引き換えに社内に影響力が残る会長などのポストを求めたとも聞きます。(取締役の人事を握るみずほ銀行の)指名委員会と坂井さんもぎくしゃくしました」

 それを聞いた金融庁は「それでは引責にならない」と猛反発。結局、坂井氏と藤原弘治みずほ銀行頭取らは近く辞任し、佐藤康博FG会長も来年4月に退任する見通しだ。

 人事を巡る後味の悪いてんまつとなった。

(森岡英樹)

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