「コロナで注文がいっぱい来とんのに半導体不足とかで新車が入らんから、中古が売れとる。あれ、高く買うで」
11月上旬、筆者にそう話したのは、自動二輪販売業「レッドバロン」(愛知県岡崎市)の神戸東店(神戸市灘区)に勤める男性店員。「あれ」とは筆者が4年前、同店で買った大型自動二輪「ホンダCB1100」のことだ。レッドバロンの関西の他店に勤める店長は、こう説明する。
「2019年秋と比べれば、今秋の注文は5割くらい増えています。コロナ禍で売れたのは通勤用に買う排気量の少ないタイプが主流ですが、趣味のために買う中型や大型も好調です。『在宅勤務をするようになって、教習所に通う時間ができた』という人が増えたことも要因なのでしょう」
全国軽自動車協会連合会の統計によれば、昨年の販売台数は軽二輪(排気量250cc以下)が19年比27・5%増と絶好調だった一方、小型二輪(250cc超)は同1・4%増にとどまった。今年1〜9月は傾向が異なり、軽二輪は前年同期比8・1%増に落ち着いた一方、小型二輪は同24・7%増と上向いている。
販売のネックになっているのが世界的な半導体不足だ。
「自動車と同じく、新車生産が追い付かず、入荷時期がかなり遅れています。来年3月まで待っていただくお客様までいるぐらいです。待てない人たちは中古車を求めています」(前出の店長)
その影響で中古車の価格が上がっている。「ホンダCB」シリーズ、「カワサキZ」シリーズなど、懐かしい車種を若者が求める動きもあり、中古車が新車以上の価格で売れることもあるという。
中年層や成人になったその2世たちの愛好者も多い。新型コロナウイルスの感染拡大が終息した後も自動二輪の人気は続くか。
(粟野仁雄)