この10年ほど宇都宮市と浜松市がギョーザを巡るバトルを繰り広げている。総務省の「家計調査」に載る1世帯当たりの支出金額ランキングだ。昨年は浜松市が71円の僅差で宇都宮市を抑え、2年ぶりに首位に返り咲いた。
その宇都宮市で49年間、食品卸売業を営む大和フーズが今年10月、調理食品「東スポ餃子」=写真=を発売した。昨今の激戦を受けて「宇都宮を一番にしたい!」という思いが高まっていたという。
そこで同社役員と、かねて縁のあった東京スポーツ新聞社の役員がアイデアを出し合った。狙いは、大和フーズの売り上げ増、『東京スポーツ』の販路拡大、コロナ禍で閉塞(へいそく)感が漂う飲食店と宇都宮ギョーザの応援だ。
2社が協業するに当たっては野球・プロレスをはじめ、いろいろなスポーツ選手を取り上げる『東スポ』のイメージに合わせ、スタミナを主眼に置いた。スタミナといえばニンニクだ。こうして「臭わない・ニンニク抜き」が大勢を占める今の傾向に反し、通常の3倍の量を加えた〝ニンニク増し増し〟のギョーザが生まれた。
餡(あん)には国産の豚肉と野菜、ニンニクは高級素材の青森県産を使用。サイズは一般的な冷凍ものより少し多めで、ぎっしり中身が詰まっている。袋を開けただけでニンニクの匂いを感じ、ちょっと驚く。しかし焼き上がると匂いはほのかで、ニンニクのうまみと甘みがしっかり残っている。ご飯もビールもずんずん進みそうな味付けで、酢だけでもうまい。ラー油もいいが、練りがらしもおすすめだ。
早くも各地の飲食店で提供され、好評を博している。ネットショップで冷凍50個入り2484円。11月にはディスカウント店「ドン・キホーテ」渋谷店(東京都渋谷区)で小売り販売を始めた。
(小出和明)