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2021年7月25日号
金融 スルガ銀行の筆頭株主が撤退 「不正融資」問題が再び焦点に
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 スルガ銀行の筆頭株主で家電量販大手のノジマが出資分を引き揚げる模様だ。

 ノジマは2019年10月、スルガを創業した岡野家のファミリー企業に約140億円支払い、スルガ株を1株当たり450円で購入した。それ以前の購入分を含め、180億〜190億円費やしたと見られる。発行済み株式の約18%を手にした。

 さらに昨年6月には、同社の野島廣司社長がスルガの社外取締役副会長に就任。それに伴い、ノジマはスルガを持分法適用会社とした。

 ノジマは金融と情報技術を融合したフィンテックで連携を構想したが、具体的な成果を出せなかった。両社は経営方針を巡り対立を深め、野島氏は今年6月1日、任期満了を待たずに退任した。スルガへの出資分を引き揚げる協議を始めている模様だ。

 ノジマの損益はどうなるのか。スルガの今年7月9日終値は325円と低迷している。ノジマは50億円前後の含み損を抱えている計算になる。株価が急反転しない限り、ノジマが売却すれば巨額損失が確定する。金融庁はノジマの出資分引き揚げを容認する姿勢だ。

「ノジマによる出資はスルガの信用補完に一定の効果がありました。ただ、スルガはその後、経営危機を脱し、ノジマが出資を引き揚げても金融システムが揺らぐ可能性はもうなくなったと考えられます」(同庁関係者)

 18年に発覚したスルガの投資用シェアハウス購入者向けの不正融資問題は収束に向かっている。しかし、それとは別に投資用アパート・マンションの購入者向けの不正融資が未解決のまま。被害者弁護団は8月にもスルガに解決を迫る意向だ。

 この火薬庫に火がつけば、筆頭株主に逃げられたスルガの経営が再び不安視されることになるだろう。

(森岡英樹)

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