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2021年7月11日号
社会 広島・岡山を結ぶJR西の芸備線 利用客少ない区間の存廃を検討へ
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 芸備線が部分廃止になるかもしれない。広島駅-備中神代(びっちゅうこうじろ)駅(岡山県新見市)間の159㌔を結ぶJR西日本の路線だ。

 広島駅から芸備線のディーゼル車に乗り、途中で乗り換えて約2時間40分、無人駅の備後落合駅(広島県庄原市)に着く。そこから26㌔南東の東城駅(同市)までの区間は、1㌔当たりの平均利用客数が同社の路線で最も少ない1日11人。同駅から19㌔北東にある備中神代駅までの区間は同81人だった(2019年度)。

 JR西日本は6月8日、新見市や庄原市などに〈(芸備線の利用状況などの)課題を踏まえた地域公共交通計画策定・見直しに向けた検討〉を申し入れた。長谷川一明社長は2月18日の定例記者会見で「ローカル線の維持は難しくなっており、今後の在り方について協議していく」と述べ、赤字路線の廃止を示唆していた。

 庄原市には芸備線の駅が14あり、そのうち6駅は前述した利用客最少区間にある。市民生活課の担当者に聞いた。

「JRからは具体的に廃線という言葉は出ませんでしたが、『利用状況の分析や利用促進などについて協議をしたい』と申し入れがありました。高校生も利用しており、廃線にならないよう利用促進を考えたい」

 JR西日本の21年3月期最終損益は2332億円の赤字。前期の893億円の黒字から一転し、過去最悪の決算だ。倉坂昇治専務は6月23日の株主総会で「選択と集中」を強調した。同社は18年、「利用者の減少に歯止めがかかっていない」などとして、広島県と島根県の中山間部を結ぶ三江(さんこう)線を廃止にしたばかりだ。

 芸備線の全区間が開通したのは1936(昭和11)年。70年代になると中国自動車道が開通し、客を奪われるようになった。2007年には急行列車の運行がなくなっていた。(粟野仁雄)

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