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2021年5月23日号
行政 「選挙モンスター」にも陰りか 真価問われる河村名古屋市長
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 4月25日投開票が行われた名古屋市長選は、現職の河村たかし氏(72)が元市議会議長で自民・立憲民主・公明・国民民主が推薦した横井利明氏(59)らを破り、出直し選を含め5度目の当選を果たした。署名偽造事件に発展した大村秀章・愛知県知事リコール運動の顔となった河村氏を批判する「反河村包囲網」をかいくぐった格好だが、4期目もいばらの道が待ち受ける。

 選挙戦で署名偽造事件の釈明に追われた河村氏。「38年間も政治家をやっていて、気づかなかった自分が本当に情けない」と自身の関与を否定。「選挙モンスター」と称され圧勝を続けてきたが、今回の得票率は51・7%(39万8656票)。前回の67・8%を大幅に下回り横井氏に約4万8000票差まで迫られた。

 当確の報が飛び込んだ直後、支持者に満面の笑みを見せた。だが、記者から署名偽造事件が争点となったことを問われると、「あんなのは私は全然関係ないし、リコールは大変重要なことだったんですよ」と険しい表情を見せた。

 そもそもリコール運動は、一昨年開かれた国際芸術祭「あいちトリエンナーレ2019」の企画展に「慰安婦」から着想した「平和の少女像」などが展示されたことを芸術祭実行委会長代行の河村氏が批判したことに端を発する。

 今年2月、県選管が「約83%が無効の疑いがある署名」と発表し、アルバイトを動員した署名偽造を『中日新聞』などがスクープ。署名運動団体幹部の常滑市議が偽造関与を認めたり(4月)、運動団体事務局長の元愛知県議が署名書き写しを依頼したと認めたり(5月)したことが次々と報じられ、県警の捜査も進む。

 リコール運動でタッグを組んだ高須クリニック院長の高須克弥氏から当選直後、「絶交」を言い渡され、大村知事からコロナ対策で「いてもいなくても一緒」と突き放された。河村氏の言う「最後の奉公」で政治家としての真価が問われることになる。

(井澤宏明)

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