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2021年5月 9日号
社会 緊急事態宣言で対面授業は中止 消える大学のキャンパスライフ
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 ついに3度目の緊急事態宣言。新規感染者数が多い関西にある大学は相次いで対面授業を取りやめ、ウェブ会議システム「Zoom(ズーム)」などを使うオンライン授業に切り替えた。

 筆者が4月14日、京都市の京都大吉田キャンパスを訪れると、学食は大勢の学生でにぎわい、活気が戻っていた。しかし、京大は19日、「原則オンライン授業に切り替える」とし、学生に「課外活動は屋外で十分な感染防止ができる場合のみ」と指示した。

 神戸市から京都市にある同志社大新町キャンパスに通う政策学部3回生の女性(20)に聞いた。

「リアル(対面)の授業は週1回しかありません。ボランティアサークルの活動もできず寂しい。京都に下宿している同級生は『授業が全部オンラインになるなら下宿を引き払えるけど、週1回だけあるからできない』と嘆いています。ほとんどオンライン授業なのだから、大学は学生から徴収する『教育充実費』を返すべきです」

 3月に甲南大(神戸市)を退職した園田寿(ひさし)名誉教授は、学生に同情する。

「この1年はほとんどズームの授業でした。学生の顔がよく見えず、対面授業のように冗談を言うこともできませんでした。友だちができず孤立する留学生もおり、かわいそう」

 甲南大は授業料と別に「施設設備費」などを徴収している。最も安い文学部などの4月入学生は年18万円。

「大学は図書館の本を購入するなどの経費がかかり、返還するのは難しいと思います」(園田氏)

 事情は他の大学も同じ。「オンライン授業をするための設備にもカネがかかる」などとして返還しない大学が多い。学生が訴訟を提起することも考えられる。

 入学以来、友人ができない1、2回生も多い。「キャンパスライフ」は死語になったのか。

(粟野仁雄)

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