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2021年3月28日号
行政 総務省などの接待問題の陰で文科省は処分幹部が返り咲き
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 菅義偉首相の長男・正剛(せいごう)氏らから、総務省幹部らが繰り返し接待を受けていた問題は高級官僚の〝緩み〟を示している。だが、接待で処分されたはずの官僚が、文部科学省の筆頭局長に返り咲いたことはあまり知られていない。

 文科省では2018年の汚職事件に絡み、贈賄側から幹部が高額接待を受けていた問題が発覚した。多くの幹部が懲戒処分されたが、このうち減給処分を受けた義本博司氏が、今年1月1日付で総合教育政策局長に就任したのだ。

 義本氏は19年1月、大学入学共通テストの実施を担当する高等教育局の局長から、大学入試センター理事に出向した。この人事は、接待問題を受けての「事実上の更迭」とみられていた。だが、元文科省詰め記者が指摘する。

「本来なら入試センター理事で終わって退任します。義本氏の本省返り咲きは、文科省の人材難を示しています。当然、内閣人事局の承認事項で、陰に萩生田光一文科相の意向が働いただろう。彼は財務省と掛け合い、40年ぶりに文科省の念願だった小学校の〝35人学級〟を実現した。(所属する)細田派を後ろ盾に次期首相候補にも挙がるようになった。また17年8月までは2代目の内閣人事局長でもある。義本氏は次の事務次官とも目され、これで接待漬けの過去は不問となった」

 総務省を巡っては今年2月、国家公務員倫理規程違反で11人が懲戒処分や訓告処分を受けた。さらに、総務省時代に高額接待を受けていた山田真貴子内閣広報官は、同28日に体調不良を理由に入院し、翌3月1日に辞職した。農水省では贈収賄事件で在宅起訴された吉川貴盛・元農相が同席だったとはいえ、幹部が贈賄側の接待を受けていたことも発覚している。

 総務省で問題になった接待は16年以降で、文科省の問題があっても幹部は繰り返し接待を受けていた。そして、義本氏のごとく復権もありうる。政権の官僚人事を注視しなければならない。

(田口嘉孝)

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