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2021年3月21日号
社会 「なんで預金を差し押さえたの」 氏名と生年月日が同じ人が被害
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 確認を怠ると思わぬことになる――。

 2月18日、大阪市天王寺区役所に大阪府外に住む女性から連絡があった。

「私の銀行預金が天王寺区役所に差し押さえられました。そんな目に遭うなんて、身に覚えがありません」

 女性の預金残高は予想外に大きく減っていたため、予定していた引き落としができなかったという。

 同区が調べると、国民健康保険料を滞納していた同区に住む別人と取り違え、府外女性の預金9万9364円を誤って差し押さえていたことが分かった。2人はたまたま生年月日も氏名も同じだった。

 同区役所は被害を受けた女性に謝罪し、差し押さえ履歴が残らないようにする手続きをした。同区窓口サービス課によれば、差し押さえに先立って、氏名や住所などを銀行に伝え、口座番号などを照会する。その手続きは区と大阪市債権回収対策室のどちらかが担うという。今回は市が銀行に照会し、「住所相違」のただし書きのある回答を得て、区に伝えていた。

 住所が異なる場合、差し押さえをすべき人なのかどうか調べなければならない。しかし、区の担当者は生年月日と氏名が一致することから滞納者と思い込んだ。住所の不一致については「市債権回収対策室が調べたに違いない」と決めつけ、確認を怠ったという。同区窓口サービス課の寺戸順二課長代理が説明する。

「本庁(大阪市役所)から伝えられた住所相違を確認するのは区役所の責任です。今後は作業手順のマニュアルを作り、研修をして再発防止に努めたい。一時的にせよ、引き落としができなかった方には多大なご迷惑をかけて申し訳ありません」

 担当者の処分は未定。

 ちなみに、ある人が同じ生年月日の人に出会う確率は日本全体で0・003%ほどだという。それに加えて氏名が一致するのは奇跡的な確率だ。今回はさほど珍しい氏名ではなかったという。

(粟野仁雄)

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