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2021年1月17日号
トヨタ社長・豊田章男vs.菅首相 脱ガソリン ガチンコバトルの行方
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トヨタ自動車の豊田章男社長が菅義偉首相の看板政策に真っ向から反対した。「2030年代に新車のガソリン車をなくす」という菅政権。「ビジネスモデルが崩壊する」という豊田氏。「脱ガソリン」を巡るバトルの背景にどんな事情があるのか。

トヨタ自動車の豊田章男社長が、菅政権の目玉政策である「脱ガソリン車」の取り組みに異を唱えた。脱ガソリン車に急激に移行すれば「自動車業界のビジネスモデルが崩壊してしまう」と強い懸念を表明したのだ。発言の裏には、電気自動車(EV)に出遅れた自動車業界の窮状が透けて見える。業界トップの発言の真の狙いはどこにあるのか。

菅義偉首相は政権発足直後に「2050年までに温室効果ガスの排出を実質ゼロに」を公約として掲げた。政府が「脱炭素(カーボンニュートラル)」の達成時期を設定したのは初だ。時期を明示した目標設定が主要国の潮流だが、日本は産業界が反対し、経済産業省も二の足を踏み、安倍前政権時代に海外から強く批判されてきた。その舵(かじ)を菅首相は大きく転換した。

菅政権は自動車業界に対しても「30年代半ばにガソリンエンジンだけで走る車は、国内の新車販売をゼロにする」との目標を示した。日本のCO2排出量のうち自動車が16%を占める。脱炭素の実現に「脱ガソリン」は避けて通れない。

東京都の小池百合子知事は一歩進め、脱ガソリン車の新車販売を「30年までにゼロにする」とし、時期を前倒しした。「東京都で禁止」は「国内で禁止」と同じ効果を持つ。

国や東京都が言う「脱ガソリン車」とは、EVや、水素を燃料とする燃料電池車のほか、ガソリンエンジンと電動モーターを併用するハイブリッド車も対象になる。19年の国内乗用車新車販売約430万台のうちハイブリッドが34%を占め高い比率だが、EVは1%に満たない。燃料電池車は685台と普及段階の前だ。

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