支持率が急落する菅義偉政権はいつ総選挙に打って出るのか。感染拡大に歯止めはかかるのか。東京五輪は本当に開催できるのか。2021年、我々が直面するに違いない状況を専門家が予測した。
ジャーナリスト・田原総一朗
衆院の解散・総選挙のタイミングは国会である種、先が見えたところで可能性が出てくる。つまり、2021年の春先だ。
僕が菅(義偉首相)さんに「新型コロナウイルスが一段落しないうちの衆院解散は絶対に反対」と伝えた。菅さんは「それはしない」と言っていた。だから、年明けの通常国会前の解散・総選挙はない。今、感染者が増えているからね。
一方、報道各社の12月の世論調査で、菅内閣の支持率は急落した(共同通信は前月比12・7ポイント減の50・3%。毎日新聞は同17ポイント減の40%で、不支持の49%を下回るなど)。これは、明らかに菅政権のコロナ対応のあいまいさが招いた。政府は12月14日になり、ようやく「GoToトラベル」の全国一斉停止を決めた。停止すべきとの声は、ずいぶん前から高まっていたのに、なぜ、ここにきて踏み切ったか。
菅さんは感染者が最も多い東京の小池(百合子)都知事と2回も会っているのに、一度は高齢者らへのGoToトラベルの利用自粛にとどめた。札幌や大阪は規制(一時停止)しているのに。それでは「第3波が広がるのではないか」と支持率が急落した。
それと、東京五輪とコロナのワクチンの関係だ。政府は夏までに一般国民にワクチン接種をしたいと願っているでしょうね。「できる」と「ちょっと無理」という二つの説がある。日本はアメリカの反応を見ようとしている。つまり副作用が、どう出るか。反応を確かめるのに数カ月かかる。
国民の接種ができなきゃ、五輪は難しいんじゃないか。IOC(国際オリンピック委員会)は「開催したい」と言っているが、日本人が接種できていないなら難しい。五輪開催に対する国民の反対が強くなると思うよ。だから、五輪後の解散はあり得ないでしょ。