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2020年9月13日号
安倍崩壊 独占インタビュー60分 石破茂「首相」への覚悟
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「失われた政治に信頼を取り戻す」 総裁選実施なら石破首相誕生か!

<総力取材12ページ 安倍崩壊 裏切りの電撃辞任>

日本社会を7年半の長きにわたって支配した独裁政治がひとまず終わった。安倍辞任の報が駆け巡った時、倉重篤郎は、次期首相候補ナンバーワンの石破茂氏に取材中だった。話題は、首相辞任の瞬間における石破氏の存念を明かすものとなった。日本の将来に光芒を投げかけるであろう、記念碑的インタビュー論考をお届けする――。

◇「菅首相、石破副総理」も浮上 かやの外で渋面「麻生」 留任ほくそえむ「二階」

やはり、というか。ようやく、というか。第2次安倍晋三政権が8月28日、憲政史上最長の政権にしてはあまりにあっけなく、逃げるようにして幕を閉じた。

やはり、という意味の一つは、そのサインが通常国会閉会直後の6月後半にあったからである。「9月の人事では石破(茂)さんにも入閣してもらい挙党体制で臨みたい。安倍首相がそれを望んでいる」との話が石破派幹部に伝えられたのだ。石破氏側はその真意をいぶかった。石破だけは後継にしたくない、というのが安倍氏の強い意思である、と喧伝(けんでん)されていたからだ。

官邸で何か異変が起きている、という石破派参謀の直感は結果的に当たっていた。安倍氏の持病の潰瘍性大腸炎の再発であった。これまでの特効薬治療が効かなくなっていたのである。

安倍氏はかつて、慶應大病院の日比紀文(ひびとしふみ)主治医(当時)との対談で、この持病については中高生時代から腹痛と血便に悩まされ「今思えば、学期末試験を控えたストレスの多い時期に発症した」と率直に語っている(毎日新聞26日付朝刊コラム「水説」)。

今回もまたストレスが変調のきっかけだろう。森友・加計(かけ)問題に「桜を見る会」、検察人事、河井克行・案里夫妻の公選法違反事件とメガトン級の不祥事が重なった。そこをコロナが追撃した。目に見えない敵と闘う。不得意な分野だった。「やっている感」が通用しない。支持率が落ちる。森友では文書改ざんで自殺した近畿財務局職員夫人の告発が世の支持を得た。ストレスは最高潮に達していたであろう。

やはり、の二つ目は、もともと安倍氏の頭には総裁任期(2021年9月)を1年前倒しで退陣するシナリオがあったからだ。五輪終了後余力を残して退陣、岸田文雄氏に禅譲する、との案であった。60年安保後、岸信介氏が池田勇人氏を後継者とし、安保重視路線を宏池会の経済路線に切り替えた。64年の前回五輪直後にその池田氏が佐藤栄作氏を指名して退陣した。二つの歴史の顰(ひそみ)に倣うものだった。

頼りにしていた岸田氏が伸び悩み、五輪が延期となり一時は捨てたシナリオだが、コロナと持病再発という最悪の状態で復活したのは歴史の皮肉ともいえる。

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