〝後継〟は悪夢の「麻生」か鉄仮面「菅」か
永田町が風雲急を告げている。コロナ禍対策でことごとくダメ出しを食らってきた安倍晋三首相。憲政史上最長となる連続首相在職期間を達成目前で、まさかの体調不良が明らかになり、9月退陣説がささやかれる。果たして、その真相は? ポスト安倍の行方は――。
お盆休み明けの8月17日、永田町は騒然となった。午前10時半ごろ、安倍晋三首相が東京・富ケ谷の自宅から新宿区信濃町の慶應大病院に入ったからだ。首相周辺は「体調管理に万全を期すため、日帰り検診を受けた」と説明した。事実、安倍首相は午後6時過ぎに帰宅した。ただ、病院滞在は7時間半にも及んだ。
安倍首相は毎年、同病院で人間ドックを受けている。だが、今年は6月13日に受診したばかり。わずか2カ月後の〝追加検診〟に「健康不安による退陣の可能性が出てきた」とメディア関係者は色めきたった。
自民党関係者は語る。
「持病の潰瘍性大腸炎が悪化してGCAPを受け、がん検査も受けたそうです」
GCAPとは顆粒球(かりゅうきゅう)吸着療法という。炎症が発生する原因になっている顆粒球(白血球のうち骨髄系の細胞の一つ)を除去して災症を抑える、潰瘍性大腸炎の治療法の一つだ。ただ、がん検査もしたというから、ただ事ではない。
振り返れば、新型コロナウイルスの感染拡大で〝ニッポン丸船長〟安倍首相の舵(かじ)取りは、批判を受け続けた。全国の公立小中高校の一斉休校しかり、政府が配布した小さめの布マスクこと通称「アベノマスク」しかり、GoToトラベルキャンペーンしかり――。
内閣支持率も下落傾向にある。NHKが8月8〜10日に実施した世論調査では、内閣支持率が前月比2㌽減の34%、不支持率は同2㌽増の47%だった。時事通信が同7〜10日に行った世論調査も前月比2・4㌽減の32・7%、不支持率は同2㌽増の48・2%だった。政権維持の「危険水域」と言われる30%割れ目前で推移しているのだ。
何をやっても批判を招き、休むいとまもない。安倍首相にとってストレス発散の〝妙薬〟であるゴルフも封じられ、気分転換もままならない状態が続いているのだ。ストレスが最大の敵と指摘される潰瘍性大腸炎が悪化していることは想像に難くない。
さらに7月6日夕に安倍首相は一時的に意識混濁状態に陥ったという。写真週刊誌『フラッシュ』8月18・25日合併号が報じた「安倍晋三首相 永田町を奔(はし)る〝7月6日吐血〟情報」だ。
「潰瘍性大腸炎の場合、血便はあっても吐血はない。つまり、別の病気の可能性がある」(官邸関係者)
となると、お盆明けのがん検査もつじつまは合う。
安倍首相は休むことなく執務を続けた。健康不安は改善することなく時間だけが過ぎた。8月1日、アベノマスクの着用をやめ、大きめのマスクを着用。その理由を「市場のマスク供給量が回復し、通常の流通で確保できる状態になった」からだと説明した。しかし、先の官邸関係者は明かす。
「顔色が悪く、頰が痩せこけたことをカムフラージュするため」
さらに首相周辺は語る。「日比紀文(ひびとしふみ)医師(北里大北里研究所病院炎症性腸疾患先進治療センター長)が、診察に当たっています」
日比氏は元慶應大医学部内科学(消化器)教授で、以前から安倍首相の主治医を務め持病の潰瘍性大腸炎の治療などに当たっていた。慶應大を定年後、北里大に移ったが、体調に応じて安倍首相を裏から支える医師団の〝応援〟に入るケースが、しばしばだという。
今回の日帰り検診も当初は、日比氏ら医師団の判断から1週間の入院、状況次第では月内予定だった計画が急きょ、変更になった。
政治ジャーナリストの角谷(かくたに)浩一氏は語る。
「1週間もの入院は政局になりかねない。無理をしてでも日帰りに変更したと、首相周辺は明かしています」
権力への執着は今も〝健在〟ということなのか。しかし、安倍首相の〝異変〟は持病の悪化や新たな病気の疑いにとどまらない。
「どうやら首相は〝やる気〟を失いつつあるようだ」
8月初め、自民党・志公会幹部であるベテラン衆院議員は顔を曇らせ、こう明かした。志公会は、麻生太郎副総理兼財務相が会長を務める派閥だ。