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2020年6月14日号
社会 大阪市の小中学生と教員全員「フェースシールド」して授業
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浪速の教室に奇妙な光景が広がりそうだ。大阪市の松井一郎市長は5月22日、市内の小中学生と教員の全員に「(顔を覆う)透明のフェースシールドを着用させる」と明らかにした。同市の小中学校は6月15日に全面再開する予定。松井氏は自ら顔を覆うフェースシールドを着用し、記者団に語った。

「学校現場でフェースシールドを活用しながら、感染拡大を予防していきたい。今日はこれを付けて会議をしてましたよ。全然軽い」

必要な数は約17万5000個。これからメーカーと調整するという。市教委指導部は導入の経緯をこう説明する。

「当初、市立泉尾工業高で試作し、体調の悪い生徒を世話する養護教諭などに配布しました。6月1日からの分散登校では今まで通りでいいと判断しましたが、全面再開になると教室の密度が高まり、感染防止の観点から全員に配布することになりました。装着時の安全面を問う保護者はいますが、強い反論は来ていません」

ただ、どう使うのか疑問が湧く。マスクと併用するのか▽給食時間、体育や楽器を使う音楽の授業中は外すのか▽誰が消毒・管理するのか▽生徒が自宅から持参するのか――などを市教委にぶつけたが、「詳細な使用法は今後、配布までに検討する」(指導部)。

全国的に例がない教育現場の新型コロナ対策について、インターネットでは「暑くないか」「眼鏡が曇る」「低学年の生徒は戦隊ごっこをする」「マスクやシールドの解除宣言も必要」といった声が上がっている。

是非を判断するのは難しいが、浪速の小中学校でしばらく異様な授業風景が見られることは間違いなさそうだ。

大阪府の吉村洋文知事は全国に先駆けて新型コロナ対策を次々と打ち出して評価が高まっている。「日本維新の会」代表でもある松井氏は吉村氏を「裏で支えている」と自負する立場。まさか吉村氏が羨ましくなって、目を引くことがしたくなったわけではなかろうが。

(粟野仁雄)

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