サンデー毎日

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2020年6月 7日号
ロックミュージシャン・世良公則激白 政治も検察庁法も感じたこと自由に発信
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「あんたのバラード」「燃えろいい女」など数々の大ヒット曲で、ロック音楽を社会に浸透させた元ツイストの世良公則(64)。今もなお第一線で活躍する一方、政治などに対してもの申す場面も増えている。コロナ禍で世良が感じていること、訴えたいこととは何か。

今年2月半ば、新型コロナウイルスの感染が広がり始める中、ライブやイベントなどエンターテインメント(エンタメ)界全体に自粛ムードが広がりました。僕自身、3月、4月にもライブやイベントなどのスケジュールが組まれていて、どうすべきかをスタッフたちと話し合っていました。

そのさなか、知り合いの制作会社の社長が、自らの命を絶ったことを知りました。多額のキャンセル料が発生するなど、資金繰りがうまくいかなかったそうです。仕事上、落ち度がなかったにもかかわらず、です。ショックでした。

世良公則は1970年代後半から80年代初めにかけて、ロックバンド「世良公則&ツイスト」のボーカル・ギタリストとして、数々の曲をヒットさせた。今もなお、ソロアーティストとして音楽活動を続け、俳優としても活躍中だ。昨年11月、ツイッターの書き込みを休止したが、今年3月に再開した。知り合いの自死を機に、新型コロナや経済などについて発信したり、政治家のツイート(書き込み)を積極的にリツイート(拡散)したりしている。

僕のように表に立つ人間は「我慢しろ」と言われれば、家で自粛生活をします。しかし、僕の周りには数多くのスタッフがいます。

マネジメントをする事務所スタッフをはじめ、音響、照明、楽器を運ぶローディー、グッズ製作、さらにライブハウスや劇場関係者、ライブやイベントを企画・運営する制作会社など、すそ野は広い。組織人もいれば、フリーランスの人もいる。

彼らは、僕がライブの延期や中止を決定したら、収入が絶たれてしまう。ところが、支出はいや応なくあります。

ウイルス感染の予防は当然必要なことですが、じっと家にこもって生活できるのか。「感染予防には自粛と補償の両輪が必要だ」――。3月になると、周りからそんな悲痛な声が聞こえてきました。彼らの声を埋もれさせないためにも、僕は音楽以外の方法、つまり活字でもこうした声を広めていかなければいけないと感じたのです。

そして、これは何も僕たちエンタメの世界に限った話ではありません。全ての日本国民に降りかかった災禍です。新型コロナウイルスとの戦争だという報道もありました。

実際には火の手は上がっていませんが、戦火に覆われているような状態です。このままでは日本は焼け野原になってしまう。一刻の猶予もありません。

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