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2020年4月 5日号
新型コロナ リーマン・ショック再来を懸念「令和の徳政令」を求める声も
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新型コロナウイルスの蔓延(まんえん)に世界の金融市場が震え、リーマン・ショックの再来を懸念し始めている。

日本政府も、矢継ぎ早に経済対策を発表。インバウンド急減の影響をもろに受ける観光業などの中小企業向けに5000億円の低利の貸付・保証枠を設けた。第2弾として中小企業を対象に実質無利子・無担保で融資する新制度を創設、総額1兆6000億円規模の金融支援に乗り出すことを決めた。

また、メガバンクなど民間金融機関もコロナの影響を受けた企業や個人事業主に対し、金利を優遇するなどの特別融資に踏み出している。

しかし、中小企業の現場からは、「新たな借り入れは返済負担の増加として先行きの経営を圧迫しかねない。現状の借り入れの返済を猶予してくれればさらにありがたい」(埼玉県の中小企業経営者)との声が聞かれる。取引金融機関に既存融資の貸し出し条件の緩和を求める、いわゆる「令和の徳政令」を求める要望と言っていい。

旧民主党政権下の2009年、リーマン・ショックを受け、危機に瀕(ひん)した中小企業を救済するため亀井静香・金融担当相(当時)が打ち出したのが「中小企業金融円滑化法」で、金融機関に円滑な資金供給や貸し出し条件の緩和を求めた。俗に「平成の徳政令」と呼ばれる措置で、そのキモは「返済の猶予や金利減免」だった。同時に、貸し出し条件を緩和した中小企業の債務者区分について、取引金融機関は上位遷移(例えば、要管理先債権を要注意先債権に引き上げる)することを認めた。これに伴い金融機関の引当負担は軽減された。

その「中小企業金融円滑化法」は13年3月末で終了した。その法の精神はいまも残っているが、「明確に法的根拠が与えられれば中小企業の救済にも乗り出しやすい」(地銀幹部)との意見は根強い。「令和の徳政令」に期待が高まる。

(森岡英樹)

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