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2020年3月22日号
社会 「カモノハシ」のラストラン中止 東海道新幹線車両にもコロナ禍
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「カモノハシ」の愛称で親しまれた東海道新幹線の車両「700系」が今月、21年間の営業運転を終えた。ところが3月8日に予定されていた、鉄道ファンらが別れを惜しむはずの東京駅出発の「ラストラン」や新大阪駅での引退式などが新型コロナウイルスの影響で中止となり、やや寂しい引退となった。車体には「ありがとう」「LAST RUN」と書かれていたが、中止によって3月1日の運行が最後になってしまった。

JR東海の広報は「ホームが密集状態になる恐れもあり感染防止からも苦渋の決断」としている。発売後、瞬時に売り切れた1302席分の乗車券は返金する。

1999年3月から導入された700系の愛称は、風圧による揺れを軽減するため、先頭車両の先端部がカモノハシのくちばしのような形の長い車両前部の形状からだ。

最高時速は270キロ超。しかし、その後に開発された285キロ出せるN700Aに徐々に入れ替えられており、東海道新幹線では3月からはすべての車両を入れ替え。700系は山陽新幹線では存続する。

東京五輪が開催された64年10月、「夢の超特急」と呼ばれてデビューした旧国鉄(JR)の新幹線「ひかり」(0系)は最高速度210㌔。それまでは特急「こだま」が約7時間かけていた東京―大阪間を4時間で結び、国民を仰天させた。その後は3時間10分の時代が続き、東京―大阪間は「日帰り出張」となった。

民営化後の92年に「のぞみ」が登場、東京―大阪間を2時間半で結ぶが、7年後からは揺れが少なく乗り心地のよい700系がフル回転した。

振動をさらに抑えた最新型のN700Sは東京五輪直前のことし7月に営業運転デビューする。新幹線はやはり「東京五輪」とともにあるようだ。

(粟野仁雄)

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