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2020年3月22日号
警察の次期トップ官僚人事巡り長官・総監で「政治派」並ぶのか
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1月の警察庁人事で、栗生(くりゅう)俊一長官(61、1981年入庁)と三浦正充警視総監(60、82年同)が退任し、松本光弘次長(58、83年同)が慣例通り長官に就任、また斉藤実(みのる)副総監(58、85年同)も順当に総監に就任した。2人とも警備・公安畑で、東京五輪・パラリンピックの警備シフト人事だ。

だが、これが官僚制の習いというものなのか、早くも「次以降」の人事を巡って、懸念の声が上がっている。次期警察庁長官には、今回次長に昇格した中村格(いたる)氏(56)の昇格が確実視されている。一方、大石吉彦警備局長(56)と、今回刑事局長から官房長になった露木康浩氏(56)もその次の長官や、次の警視総監候補だというのだ。

警察事情に詳しいジャーナリストは「3人はいずれも昭和61(86)年の入庁組です。同期から2人の長官が(連続して)出る、あるいは長官と総監が同時期に就任というのは、本来同期をふるい落としていく官僚人事からして極めて異例のことだ」と指摘する。

露木氏は刑事のエース的存在で内閣法制局を歴任し、官邸などいわゆる政治からは距離を取った中立派とされる。片や大石氏は6年余り総理秘書官を務め警察行政からは離れていたものの、官邸の肝いりで現在の警備局長に就いた。

「大石氏はいずれは沖田芳樹内閣危機管理監(81年入庁、元警視総監)の後任として再び官邸入りに意欲を見せているとされ、そのためには警視総監の経験が必要」(前出ジャーナリスト)

同期3人の中で、菅義偉官房長官の秘書官を務めた中村氏と大石氏は「政治派」とされる。

「さすがに長官の約2年の任期はいじれない。しかし、総監は1年でも代わる。そこで割を食うのが露木氏。警視総監は短期で放逐され、その後を大石氏が継ぐのではないか。いずれ、政治派の中村―大石ラインが警察の中枢を占めるというわけ」(同)

折しも黒川弘務東京高検検事長の定年延長が問題になっている。警察も安倍政権の政治支配の恐れなしとしない。

(田口嘉孝)

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