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2020年2月 9日号
何でもアリの日本自販機業界にセレブな缶詰専門機がデビュー
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カルチャー 何でもアリの日本自販機業界にセレブな缶詰専門機がデビュー

日本は世界に冠たる自動販売機王国。一般社団法人全国清涼飲料連合会のウェブサイトによると、普及台数は世界一の米国の約4分の3だが、年間売上の約5兆円は、米国を約1兆円上回るという。国土面積と人口を考え合わせれば、実質世界一といっても差し支えないだろう。

世界に冠たるのは、台数や売上だけではない。「エエッ!?こんなものまで自販機で!」という商品の幅広さも挙げられるだろう。本コラムでも紹介したが、バナナやリンゴといった生鮮果実から、その場でハンコを作ってくれる自販機まである。都内では最近、出汁(だし)のペットボトル販売機をよく見かけるようになった。

そして「満を持して」という感じで登場したのが、高級缶詰の自販機=写真=だ。京都の台所・錦市場のそばで缶詰の商品開発に取り組む「カンナチュール」が、昨年10月に初設置した。それも日本一の繁華街・銀座の一角。これほど打ってつけの設置場所もないだろう。

取材時に扱っていたのは「スイートな焼き芋」(700円税込・以下同)、「山の宝 猪肉のピリ辛味噌(みそ)煮」(2000円)「牡蠣(かき)みそ」(1600円)など。堂々の真打ちは「蟹(かに)の宝船」(2600円)だ。京都の丹後半島沖で水揚げされるズワイガニのメス「セコ蟹」が、一匹まるごと詰め込まれている。身詰まりの良い肉、濃厚な蟹みそと朱色の内子(うちこ)、プチプチ食感の外子(そとこ)と、セコ蟹の魅力すべてがぎっしり。殻をむく手間もなく、パカンと蓋(ふた)を開ければ、すぐに味わえる。

「牡蠣みそ」は特許製法で旨(うま)みを残し、リッチに蒸し上げた牡蠣をペースト状にした新食材。味噌は使われていないが、蟹みそのような味わいから名付けられた。

場所柄、クラブやバーへの手土産に買う酔客も多そう。とはいえ、彼らに独り占めさせておく手はない。今後の設置増加が楽しみだ。

(小出和明)

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