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2019年11月24日号
カワセミに笑われてしまいそう 大阪市・天王寺動物園の騒動記
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大阪市の天王寺動物園のワライカワセミ(体長約40㌢)が11月3日、イベントに出演するために出張していた同市内の緑地公園で逃げてしまった。2歳で、名前は「アキーゴ」。繫(つな)いでいたロープの金具が壊れて行方不明になった。翌朝、公園内で職員が発見、近くのマンションに飛んで行ったが好物のネズミでおびき寄せて捕獲した。「声も特徴的でよく鳴く朝は見つけやすく、人工飼育で人懐こいので保護できた。猫やカラスに襲われなくてよかった」(同園職員)と一安心。

オーストラリア原産のワライカワセミは、鳴き声が人間の笑い声に似ており、童謡「わらいかわせみに話すなよ」(作詞・サトウハチロー)でも親しまれている。

この動物園、最近、お騒がせの連続だ。9月にはカリフォルニアアシカの赤ちゃん「キュッキュ」が排水管から逃げて、後日保護されたばかり。また、最後の1頭だったシマウマ「ヒデヨシ」を大雨で屋内に入れる際に「縄張り順」を間違え先に入れたため、怒ったオスのエランド(牛の一種)に襲われて角で腹部を刺されて死ぬ悲劇も起きていた。エサ代がかさみコアラの飼育を断念、最後の1頭が10月に英国に送られたのは仕方がないが。

相次ぐ失態に「たるんでるのでは」と批判の電話などが相次ぎ、同園は「大変申し訳ない。キュッキュは排水管の鉄製の蓋(ふた)、アキーゴは金具の老朽化が原因ですが(管轄する)市の建設局と協議し種別にマニュアルも作って対策を講じたい」(前述の職員)。

同園は夜間のライトアップ展示などが好評で客足を伸ばしている。高額な入園料の水族館や動物園が増える中、大人500円、小・中学生200円の「庶民の動物園」はありがたい。アキーゴやキュッキュの無事帰還でケララケラケラと笑い飛ばさず、頑張ってほしい。(粟野仁雄)

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