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2021年3月 7日号
悩みは女性だけじゃない 男の尿漏れから逃げない
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▼専門医の3分類「排尿後」「笑った時」「水の音だけでも」

▼EDとの強い関係性も

▼ケア商品市場は5年で5倍

 家にいることが多くなり、妻から尿漏れの嘆きを聞かされる男性もいるのではないだろうか。ただ、悩んでいるのは女性だけではないらしい。男性向け商品の市場は広がっているという。男性も逃げずに〝カミングアウト〟すると、世間も変わっていくかもしれない。

「最初に尿漏れをしたときは、まさか自分が尿漏れなんて信じたくない、というのが率直な感想でした。ここ数年で、排尿の後に左脚をツーッと生温かいものが伝うことがだんだん多くなってきましたね」

 あっけらかんと語る男性の表情は、恥ずかしさと困惑がないまぜになっていた。大手レコード会社の芸能プロデューサーとして勤め上げ、現在は自身で設立した芸能事務所の代表取締役に就任している、片山創氏の話だ。若々しい雰囲気と爽やかな語り口からは、71歳という年齢を全く感じない。だが「下半身の年齢は偽れないですね」と笑う。

「思い返すと、尿漏れを意識するようになったのは、セックスが億劫(おっくう)になった時期と重なるんですよね」

 片山氏は明け透けに語る。氏には数年前まで、孫ほども年の離れた恋人がいた。彼女との性行為の途中、勃起しきらないことが多々あったという。結局、バイアグラなどを服用しながらの性生活に疲れ、破局した。

「若い頃に比べ、オシッコが勢いよく出ないことも自覚しています。その割に排尿の切れが悪く、トイレに入っている時間ばかり長く、出てきても残尿感があるんですよ。かと思えば、ふとしたときに漏らしてしまったりもする」(片山氏)

 歌手のマネジメントやプロデュースをする仕事柄、現場に人手が足りない時には自ら音響機材も運ぶ。重い機材を背負った時、「パンツにじわっと嫌な感じがする」経験もした。

 尿漏れは女性に特有であり、男性は尿漏れとは無縁と見る向きも多い。だが、片山氏は「共犯者を増やそうという腹ではないですが......」といたずらっぽく前置きした上で明かす。

「同じくらいの世代や少し上の世代の人と酒を飲んでいると、案外ズボンの股間部分が濡(ぬ)れているのに、気づいていない男性は多いんですよ。尿漏れが女性の『専売特許』とするのは、もしかすると男性には、『俺がするわけないじゃないか』というプライドがあるからかもしれませんね」

 では、片山氏が特殊なのだろうか。どうやら、そうではないようだ。

 衛生用品大手のユニ・チャーム(本社・東京)企画本部広報室の渡邊仁志氏は〝尿漏れ市場〟で男性へのケアを認識し始めた時を、次のように回想する。

「軽い尿漏れをケアする商品は1997年から発売してきました。ただ、当時は女性を対象にした尿漏れケア用品がほとんどでした。ところが、女性のお客様からのお声や切実に悩む男性から直接ご意見をいただき、『何とかしてあげたい』という強い思いから男性用の軽い尿漏れケア用品の着手に入りました」

 なぜ、「女性のお客様からのお声」なのか。

「ご自身が使用するため、自宅に保管しておいた尿漏れケア用品が、少しずつ減っていたんだそうです。そこで夫に尋ねると、夫が尿漏れに悩み使用していたことが分かったそうです。また、さらに調査を進めると、妻が夫の下着を洗う際に夫の尿漏れに気づいたケースもあり、男性でも尿漏れをすることが徐々に明らかになりました」(渡邊氏)

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