ステイホームを乗り切る
今年も「ステイホーム」の号令が続いている。会社に行かず、外出も減った分、光熱費がかさんで―という人もいるだろう。今冬のような寒波ではなおさらだ。だが、1カ月の電気代を3ケタに収める驚異の節電術がある。工夫に満ちた〝秘伝〟をお伝えしよう。
記録的な寒波に見舞われた年末年始。全国的に暖房用の電力需要が大幅に伸びたことに加えて、発電燃料である液化天然ガス(LNG)が底を突きかけ、電力需給が逼迫(ひっぱく)。日本卸電力取引所(JEPX)の電力スポット価格は急騰。昨年12月中旬まで1㌔㍗時あたり10円前後で推移していたものが、一時、200円を超える高値を付けた。電気代が市場価格に連動する新電力を利用している家庭では、1月分の電気代が大きく跳ね上がったのではないだろうか。
私が暮らしている茨城県も連日、最低気温が0度を下回り、暖房が欠かせない日が続いた。だが、先日、請求がきたわが家の1月分の電気代は586円(使用期間は2020年12月16日〜21年1月17日の33日間で、使用量は32㌔㍗時)。総務省統計局の「家計調査年報(家計収支編)2019年」によると、私と同じ単身世帯の1カ月あたりの電気代は平均5700円なので、1月分は10分の1程度ということになる。
「ほとんど家にいないのでは?」と思われるかもしれないが、フリーライターの私にとって、自宅は生活の場であるとともに、仕事場でもある。取材を除けば在宅勤務で、コロナ禍以前からステイホームだ。最近は取材やミーティングもオンラインが増えているため、家にいる時間が増している。食事は3食ほぼ自炊で、食材を保存するための冷蔵庫は常に電源が入っている。2日に1回は洗濯機も回すし、掃除機もかける。暗くなれば照明もつけるし、仕事でパソコンやプリンターだって使う。それでも電気代が毎月600〜700円で済んでいるのは、電気契約の料金プランを「5アンペア」にしているからだ。
◇「5アンペア契約」とは?
16年4月の電力自由化以降、電気の小売事業に新規企業が続々と参入。20年10月現在、新電力の登録件数は679社まで増加し、料金プランも多様化している。これまで決まった電力会社しか利用できなかった一般家庭も、契約先を自由に選べるようになり、新電力に切り替えることで、電気代が大幅に安くなるプランも出ている。
だが、複数の新電力を比較したものの、わが家の電気の使い方では、新電力に乗り換えても、安くなるプランは見つからなかった。そのため、東京電力が自由化以前から提供している旧プランの一つ「従量電灯A」を、13年10月から継続して利用している。通称「5アンペア契約」だ。
アンペアは電気が流れる大きさを表す単位で、数字が大きくなるほど一度にたくさんの電気が使えるようになる。東京電力や東北電力、中部電力などの大手6電力は、アンペア数の大きさによって基本料金が異なるプランが設定されており、これに電気の使用量に応じた電力量料金が加算される(関西電力、中国電力など4電力は、契約アンペアによって基本料金が異なるプランはない)。
たとえば、東京電力の旧プランの「従量電灯B」では、最低の10アンペアの基本料金(税込み)が286円、15アンペアが429円、20アンペアが572円で、以降10アンペア増えるごとに286円加算され、最高の60アンペアが1716円。電力量料金は使用した電力量に応じて、1㌔㍗時あたり19・88円〜30・57円(2月5日現在、燃料価格の変動に応じて増減あり)。