▼今冬の風邪とインフルエンザは異様に少ない
▼コロナと風邪の初期症状はこんなに似ている
▼自己診断は× すぐオンライン診療か検査を
せきが出た。体が痛い。風邪を引いたのか。それとも新型コロナウイルスに感染してしまったのか。そんな不安を持つ人が増えている。両者は初期症状が似ているという。そんな時、何をすればいいのか。医師や専門家にアドバイスを聞いた。
東京都渋谷区に住む会社員のナオミさん(37)は昨年11月のある日、体調に異変を感じた。
「喉が痛くなった翌朝、体温を測ると37・5度。いつもの風邪の症状と同じでした。ただ、万一のことを考えてその日は出社しないことにしました」
夜に東京都の相談窓口に電話すると、「風邪のようですが、かかりつけ医に相談するといいですね」と案内された。ナオミさんは受診したことがあるクリニックに連絡した。すると「うちには発熱外来がないから」と、別のクリニックを紹介されたという。ナオミさんはすぐにそのクリニックに出向いた。
「医師は『念のためPCR検査をしましょう』と言い、CT(コンピューター断層撮影)検査も受け、解熱剤を処方されました。薬が効いたせいか、翌日には体温は下がり、喉の痛みも消えました」
喉が痛くなってから4日目、だるさが残っていた。嫌な予感がする。そう思ったすぐ後に、PCR検査の結果が出た。陽性だった。
「人並みに気をつけていたつもりです。どこで感染したのか、心当たりはありません。翌日、食べ物の味が濃いのかどうか分からなくなったことに気づきました」(ナオミさん)
ほどなく味覚は戻ったが、感染してから2カ月以上たっても動悸(どうき)が時々あり、息苦しさも感じるという。普通の風邪ならまずない後遺症なのだろう。
新型コロナの感染が国内で広がり始めてから半年ほどの間、7割の人が風邪を引いた時に不安を感じたという。医薬品メーカー「全薬工業」(東京都文京区)が昨年10月に公表した500人を対象にしたアンケートの結果だ。同社企画推進部の橋本秀紀氏は「新型コロナと風邪の初期症状は似ており、判断が難しいと感じる方が多いという結果でした」と話す。
では両者の症状についてもう少し詳しく取り上げよう。下の表をご覧いただきたい。米ミネソタ州カーバー郡公衆衛生局が昨年5月に公表した新型コロナ感染症、インフルエンザ、風邪、アレルギーの症状を比べた一覧表だ。同局は世界保健機関と米疾病対策センターの資料を出所に挙げている。国内の医療機関も参照するようになった表だ。