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2020年12月27日号
最新!ここまで分かったコロナ後遺症 軽症者に多い嗅覚・味覚障害は平均3カ月続く
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▼新たに判明した症状は せん妄、聴覚障害、脱毛

▼治ったと思って急に行動は× 若い世代に多い後遺症

新型コロナウイルスに感染し、いったん症状が治まった人の一部が後遺症を訴えている。軽症だったのに重い後遺症を患う患者も多いという。本誌8月30日号で後遺症の恐ろしさを伝えた後、変わったことや新たに分かってきたことを専門家に聞いた。

8月に後遺症について聞いた人に3カ月ぶりに様子を尋ねた。東京都に住む会社経営者の男性、Nさん(30代後半)は「コロナ闘病中」というハンドルネームを使って自分の症状を数多くツイートしてきた。

「体力は戻ってきたんですが、寝ている時に急に息苦しくなって目覚めることがあります。胸の痛みもたまにあります」

Nさんは3月26日に発熱した後、PCR(遺伝子)検査を受け、4月1日に陽性の結果が出た。8月には「両肩が痛くて上がらない」と訴えていたが、その後、治ったという。

音楽制作会社を経営するIさん(39)は、「ふあんくん」というハンドルネームでユーチューブに動画を発信する。3月28日に発熱し、陽性と判定された。4月18日に退院してから左胸に痛みを感じるようになり、8月の取材時も痛みが続いていた。

「以前よりだいぶマシになったのですが、胸の痛みは散発的に続いています」

東京都渋谷区のヒラハタクリニックは9月、「新型コロナ後遺症外来」を設けた。平畑光一院長に聞いた。

「3月のことです。高脂血症のほかに持病のない若い男性が食欲不振、微熱、倦怠(けんたい)感を訴え始めました。症状は一向に改善せず、調べるうちに『新型コロナウイルス感染症の後遺症だろう』という結論に至ったのです」

患者の症状から新型コロナに感染したと判断できる例が続出したのだ。インターネットで紹介したところ、来院者が日増しに増え、専門外来を設けることにしたという。平畑氏は後遺症に苦しむ患者の対応に毎日深夜まで追われている。

「2〜5月ごろに症状が出た人のほとんどは、PCR検査を受けられませんでした。その後、後遺症の症状が出て、その症状を基に『新型コロナに感染したとみられる』と判断するほかありません。そのような疑い例を含め、3月から約400人を診ました。新型コロナ感染症自体は軽症だったのに後遺症はすごくキツい患者が多いですね。20〜40代の若い人が中心です。また、女性は男性の1・5倍ぐらい多い。自己免疫系の病気が女性に多いせいかもしれません」(平畑氏)

クリニックではオンライン診療を申し込む際、ウェブサイトでアンケートを取る。寄せられた声をいくつか紹介しよう。

「頭痛がひどく、味は苦みしかしない。強い倦怠感で仕事に行けず、行く際に道も間違えてしまう。胸が痛いが鎮痛剤も効かず、とてもつらい」(30代男性、教育関係)

「動悸(どうき)、息苦しさ、胸部痛がして、だるくなった。眠れなくなった。チクチクする胸部痛がある」(10代男性、学生)

「歩いたりするだけで動悸がし、息苦しくなり、脈が飛ぶ。通勤しているだけでつらくなる。肺が痛い感じ。味覚がないので食欲がない」(30代女性、会社員)

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